スバルショップ三河安城の最新情報。スバリズムレポート第3弾「ステルス技術の全貌。」| 2019年1月25日更新

 
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文責:スバルショップ三河安城 和泉店

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担当:余語

 

最高ではないものの、最善であったYF-22。勝利を手中にする。

YF-22 and YF-23
 

試験空域を飛行する、2機のATF。この時既に、冷戦もソビエトも鉄のカーテンもワルシャワ条約機構も過去のものとなっていた。仮想敵を失ったATF計画は、迷走を始める。
National Museum of the United States Air Force [Public domain], via Wikimedia Commons

 

1991年4月23日、ATF計画の勝者はロッキードチームに決定します。また、エンジンはプラット・アンド・ホイットニーが選定されました。YF-22の勝因として、プログラム管理能力が挙げられています。また、コストとリスクの面からも評価されたとされています。

公式には認められていませんが、YF-23の方が、機体単体の性能は高かったとされています。より大きな機内搭載能力を持ち、ステルス性に優れ、機動性はすべてに於いてYF-22を上回ったとされているのです。

 

750機+海軍向けNAFTの予定だったATF計画は、たった183機で終了。

F-22F119
 

アフターバーナーで加速する、F-22A 1号機。昨今、ロシア・中国との新冷戦体制の始まりにより、再び圧倒的な性能を持つF-22Aに期待する声が高まっている。が、再生産への道のりは遠い。
U.S. Air Force photo [Public domain], via Wikimedia Commons

 
F-22A Take Off F-22A & F-35A
 

[左]離陸するF-22A。圧倒的な出力を持つF119-PW-100により、F-22Aはアフターバーナーを使わずに音速を突破。マッハ1.58に達する超音速巡航を可能にする。出典:US AirForce
[右]F-35とともに飛行するF-22A。F-35は設計の新しい機体であるものの、輸出を前提にしている上、コストに配慮したために最高のステルス性能を備えている訳ではない。出典:US AirForce

 

1989年8月18日、全規模開発(FSD)のRFP草案がリリース。試作機製造へと進められていきます。ところが、1991年12月にソビエトが崩壊。F-22は、突如仮想敵を失うことになります。

東側国家に対するリスクが急激に低下したことで、空軍は「過剰な性能」を持つ先進的な戦闘機に対する興味を失っていきます。特に、ステルス性はソ連の濃密な防空網を突破することを目的としていましたから、F-22不要論まで真剣に論じられるようになります。

低率初期生産の開始は、ズルズルと1996年も延期。生産機数も、当初の750機から、1991年には648機に減らされてしまいます。その後も減る一方で、結局F-22Aの生産機数はたった183機のみとなります。その結果、量産効果は著しく低下し、ユニットコストは200億円を軽く超えるとも言われています。また、余りにも圧倒的な性能を持つがゆえに、輸出も制限。日本やオーストラリアが求めたものの、輸出禁止法案によって一切それも不可能となります。

2018年になって、ロシア・中国は相次いでステルス性を備えた大型戦闘機を戦力化しています。しかし、これに抗するには、旧式のF-15C/Dや、パックマンステルスのF-35は完全に役不足。一部では、F-22の再生産を求める声もありますが、上乗せされる生産ラインの整備コストが莫大なため現実的では無いようです。

日本の航空自衛隊は、2030年代に退役を始めるF-2の後継機選定を進めています。ロッキード・マーティンは、これに呼応してF-22の機体にF-35のシステムアビオニクスを搭載、これを日米共同開発するという、F-22の改造発展型を提案していると言われています。もし実現すれば、世界最高性能であることは疑いようもありませんが、その機体価格が200億円を大きく超過するのも間違いありません。

ロッキード・マーティンの魂胆は、日本の再生産コスト負担によって、米空軍のF-22の追加生産であると言われており、実現性は低いと思われます。

 

参考文献

(世界の傑作機SPECIAL EDITION (Vol.2) ロッキードF-117ナイトホーク

2003年12月 文林堂

世界の傑作機 「ロッキード U-2 ドラゴンレディ」

2016年1月 文林堂

世界の傑作機 「SR-71 ブラックバード」

2003年5月 文林堂

最強戦闘機F-22ラプター

2007年11月 並木書房 著:ジェイ・ミラー 訳:石川潤一

ステルス戦闘機―スカンク・ワークスの秘密

1997年1月 Ben R. Rich (原著), 増田 興司 (翻訳)

 

文責:スバルショップ三河安城和泉店 営業:余語

 

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