スバルショップ三河安城の最新情報。自動運転が招いた悲惨な事故。Uber実験車が死亡事故。| 2018年3月24日更新

 
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担当:余語

 

自動運転が招いた悲惨な事故。Uber実験車が死亡事故を起こす。

報道によれば、現地時間2018年3月18日夜10時頃、アメリカはアリゾナ州テンピでUberの自律走行車両に女性がはねられ、死亡する事故が発生しました。これを受けて、Uberは他の都市での自律走行の公道実験を中止。トヨタも、即日同様の実験を停止すると発表。

Uberの痛ましい事故は、公道実験で何の罪もない歩行者を死に至らしめたとあって、世界中で大きなニュースとなっています。

 

そもそも、Uberはなぜ公道実験を実施していたのか?

リアルワールド、つまり一般公道上では、社内実験では起こり得ない様々な事象が発生します。信号無視や不意の歩行者の横断等々。。様々な問題点を明らかにし、その修正を繰り返して、完成度を高めるのが目的です。逆に言えば、公道実験を行う必要があった。。。つまり、技術が未成熟であったということです。

ならば、公道で事故を起こす可能性があったことは、行政もUberも一定の理解をしていたはずです。にも関わらず、今回のような痛ましい事故に至ったことが問題なのです。

如何なる理由があろうとも、何の関わりのない人々を実験台にしてはなりません。それが如何なる富を生み出すものであっても、です。

確率的に言えば、如何に完璧な安全装置が装備されていたとしても、事故は起こり得ます。米ソの宇宙開発でも分かるように、かつては実験も命がけでした。しかし、今や時代は変わったのです。それが、如何なる新技術であっても、「最初から完全なる安全性を担保していなければならない時代」なのです。

 

なぜ、Uberは事故を起こしたのでしょうか?

今回の事故は、運転席にオペレータが座った状態で発生しました。この状態ならば、事故の責任はすべてオペレータが負うことになります。オペレータが危険―自律走行システムが危険に対応しないという―を認識した時点で、回避動作を行う義務があるのです。

と言われても・・・というのがオペレータの気持ちでしょう。人間が咄嗟の回避行動を取るには、一定の緊張下になければなりません。リラックスした状態では、回避行動など取りようが無いのです。これは、自動運転がレベル5(回避行動も含めてすべてを一任する)まで進化するまで、必ずついて回る問題です。

警察が公開したムービーを見ても分かるように、オペレータは完全に「油断した状態」です。自律走行システムを完全に信用しているのですから、無理もないでしょう。

事故に遭遇した経験をお持ちの方ならご存知でしょうが、事故は「突発」で起こるものです。ですから、公道実験中に突発のエラーが起きたとしたら、人力での対処は絶対に不可能。つまり、今回のような事故は再び起こり得るのです。

 

「誰が悪いのか」よりも、「いつか事故るかも」の公道実験の方が深刻な問題。

今回の事故では、Uberとオペレータの双方が訴追されるのでしょう。誰が責任を負うのか、は確かに重要な問題です。でも、それは事故が起きてしまった後の話です。

それよりも「もしかしたら事故るかも」という公道実験の方が、よっぽど深刻な問題です。技術開発のための実験は結構です。しかし、「100%ではない」のなら、実験場から1mmたりとも外に出てはいけない。それは、技術者として、エンジニアとしてのモラルの問題です。

各地で盛んに実証実験が行われていますが、その実験の安全証明は誰が行っているのでしょうか?もし、安全証明が無いのなら、その実験はなぜ・誰が・どのように許可したのでしょうか?そのあやふやな安全証明で、何の関わりもない人々に危険に晒しても良いのでしょうか?

 

誰が、その安全を証明するのか。安全証明もなしに、公道走行は許されるのか。

ところが、自動運転技術には更なる「根本的な問題」があります。衝突安全技術と違って、その安全を誰がどのように証明するのか、まったく考慮されていないのです。実際のところ、自動車メーカーやサプライヤが開発する自動運転技術は、誰の安全証明も得ていないのです。そんなシステムが、一般公道上を公然と走行できることに違和感があります。

航空機は、この50年で著しく安全性を向上させてきました。今や、自動車よりも安全と言われている程です。しかし、現在の安全性と信頼性を確立するには、数万もの貴重な人命が失われてきたのは、厳然たる事実です。痛ましい事故から導かれた「血の教訓」の数々が、今の航空機の安全を築き上げたのです。

777の記事で書いたように、西側国家における航空機の安全証明はアメリカのFAAが行っています。例えば、原因不明の事故が発生し、その原因が機体にあると判断されれば、FAAは直ちに安全証明を停止します。航空会社は、指定された型式の機材の運行をすべて停止せねばなりません。これを「グラウンド」と呼びます。メーカーが、FAAを納得させられなければ、その航空機は再び飛ぶことは叶いません。

数年前、就航したばかりのボーイング787が、リチウムイオン電池から発煙するインシデントを頻発させたのは、記憶に新しいとことです。FAAは、対空製改善命令を発行。世界中の真新しい787は、すべて飛行停止となったのです。ボーイングは、スグには問題を解決できなかったので、そのバッテリを丸ごと堅牢なアルミケースに密閉してしまいました。バッテリが異常を起こしても絶対に事故には至らないことを証明し、安全を証明したのです。

 

自動運転はプロではなく、素人が運用するという、もっとも深刻な課題。

もう一つ、自動運転システムには問題があります。今回のUberの事故は、雇用されたオペレータが運用していました。彼は実証実験のために、充分な知識と見識、そして経験を持っていたことでしょう。

ところが、自動運転システムが市販の暁にはシステムは「素人」の手に委ねられます。購入したユーザが、メーカの意図した通りに「真面目」に使ってもらえるとは限りません。

説明書にも問題があります。メーカは「お言いつけ」を前提に説明書を記述しています。その為、その能力の限界を完全には網羅していません。例えば、プリクラッシュブレーキ作動中に回避行動を取ると、旋回のためにプリクラッシュブレーキは途中で解除、または緩められます。この回避行動が、具体的にどこまでの操作なのか、そこまでは記載がありません。

これが、自動運転システムとなると、システムの難易度が高過ぎて余程の見識を持ち合わせていない限り、理解できないでしょう。つまり、よく分からないまま使う。という事になります。これは、大変危険です。

 
 

今の時点で、相当に難しくなってきているのに。。。

当店では、納車の際に必ず試乗コースを使ってアイサイトのトレーニングを実施しています。対象者は、運転の可能性のある方、全員です。誤使用を確実に防ぐためには欠かせないと考えているからです。

アイサイトの追従クルコンは、自動加速制御を行います。もし間違って使えば、暴走状態となってパニックを引き起こしかねません。例えば、高速道路で80km/hで追従させたまま渋滞に突入した場合。アイサイトは、先行車に追従して極低速域まで自動制動していきます。もし、この状態のまま分岐路に出ると、アイサイトは先行車不在として80km/hまで自動で加速します。勝手な加速は「暴走した!」とパニックになる可能性があります。これを避けるには、分岐前にブレーキを踏むこと、クルコン設定速度を常に実速度とリンクさせていくこと、この2点に留意する必要があります。このことは、説明書の何処にも記載されていません。

2018年時点の技術レベルでも、これだけのリスクがあるのです。2020年代の自動運転となると・・・言わずもがな、でしょう。

自動運転システムは、いきなりから完璧な安全性を実現できるほど簡単なものではありません。

かと言って、あなたのクルマ(もしくは、あなたの家族)に自律走行車が突如突っ込んできて、「技術の進歩の為だ。犠牲は仕方ない」と受け入れられるでしょうか?

 

文責:スバルショップ三河安城和泉店 営業:余語

 

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