スバルショップ三河安城の最新情報。米国で2代目WRXが世界初公開。エンジンは2.4L直噴ターボ、出力は275ps!!| 2021年9月11日更新
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2代目WRXが、遂に世界初公開。スバルの象徴が、新たな時代を迎える。
2021年9月10日、スバルは新型WRX[米国仕様車]を世界初公開しました。世界中のスバルファンの熱い注目を集め、様々な噂が飛び交っていた、次世代WRX。その全貌が、いよいよ明らかになります。
WRXは、スバルの象徴です。初代インプレッサに、WRC参戦を目的としたベースモデルとして誕生。GC8は、当時群雄割拠のWRCに於いて、見事ダブルタイトルを獲得。続いて、登場したGDBはセダンボディ。こちらも、ドライバーズタイトルを獲得。鮮やかなWRブルーと、野太いボクサーサウンドは、WRCの伝説へ昇華。スバルブランドを、世界に伍す個性派技術ブランドとして、鮮烈に刻みつけたのです。
それから、約20年の歳月が流れました。今やWRCを撤退して久しく、WRXはインプレッサから独立。新たに兄弟にレヴォーグを得て、ハイクォリティなプレミアムスポーツセダンへと発展を遂げています。
おさらい:先代WRX、日米のグレード構成の違いと仕様差。
今回の米国仕様車の発表の詳細を知る前に、ここで整理しておくべきは、日米に於けるWRXの違いです。先代VA型の成り立ちを見てみましょう。
日本に於いては、AT[リニアトロニック:CVT]仕様の「S4」と、6MT[3ペダル]仕様の「STI」の二本立て。S4は、レヴォーグのセダン版の位置づけで、先進のアイサイトを装備するプレミアムスポーツセダンのキャラ設定。これに対し、STIはGC8以来の伝統を受け継ぐ、純ハイパフォーマンスモデル。何れも、エンジンは2.0Lターボですが、そのユニットは異なるもの。S4はレヴォーグと共通で、先進的なFA20DIT型水平対向4気筒直噴ターボ。これに対し、STIはWRCの伝統を受け継ぐ、EJ20型水平対向4気筒ターボを搭載。AWDシステムも異なり、S4はハイパワーモデル用のVTD-AWDを搭載するのに対し、STIはLSDのロック率を変更可能なDCCD-AWDを搭載していました。
一方、米国ではWRXがベースモデル、STIが上級ハイパフォーマンス仕様の位置づけ。「S4」のサブネームのない無印WRXは、FA20DITを搭載。VTD-AWDにリニアトロニックと、ビスカスLSD付AWDに6MTの2種の組み合わせ。続いて、STIは日本と異なるEJ25型2.5L水平対向4気筒ターボを搭載し、DCCD-AWDと6MTのみの組み合わせ。米国での好みに合わせ、STIはよりトルクフルな仕立てとして、その需要に応えていました。
275ps・350Nmを発揮する、2.4L直噴ターボを搭載。
今回発表されたのは、米国仕様の無印WRXのみ。つまり、米国仕様のSTI、日本仕様のS4、STIは、今暫くそのデビューを待つ必要があります。そのため、今回発表されたモデルには、トランスミッションには6MTとリニアトロニックの2種類が設定されていますが、その後日本で発表されるであろう「S4」に、6MTが設定される訳ではありませんので、あしからず。
最大のトピックは、新開発エンジンの搭載です。米国専売の3列シートSUV「アセント」用に開発され、その後米国仕様の現行レガシィにも搭載された、FA24DIT型水平対向4気筒直噴ターボです。勿論、そのままコンバートした訳ではなく、WRXの心臓に相応しいチューニングが施されています。電子制御ウェストゲートバルブとエアバイパスバルブを備えたターボチャージャーを搭載。パフォーマンスは、アセント/レガシィ用の260hp(264ps)/5600rpm・376Nm(38kgm)/2000-4800rpmから、新たに271hp(275ps)/5600rpm・350Nm(36kgm)/2000-4800rpmへ向上。レブリミットも、僅かに引き上げられています。先代米国仕様と比較すると、出力は+3ps、トルクは全く同等の設定。
トランスミッションは、6MTはそのまま継続搭載されたものの、ATには大きな変更があったようです。具体的な技術情報が不明なため、詳細は分かりませんが、スバルは新たに「Subaru Performance Transmission(以下、SPT)」の名称を与えています。
SPTについて、「8速マニュアルモード」との記載があることから、ファン期待の有段ATではなく、リニアトロニックの発展型とみて間違いありません。ただ、その中身は相当な進化を遂げているようです。レシオカバレッジが拡大され、加速とレスポンスの改善のためにマニュアルモードでのギヤレシオがより低く修正されています。さらに、マニュアルモードでのダウンシフトが50%高速化された他、ブレーキング時にはレブマッチングダウンシフトが行われます。また、CVTフルードクーラーが追加されたのは、嬉しい情報でしょう。
AWDは、先代と同様。6MTモデルはビスカスLSD付AWD、AT仕様はVTD-AWDの組み合わせ。ただ、VTD-AWDには「スポーツモード」を追加、LSDトルクの制御により回頭性向上を実現しています。
フルインナーフレーム構造を採用した第2世代SGPで、大幅に進化。
ボディ周りは、基本的にレヴォーグがベース。当然、フルインナーフレーム構造と構造用接着剤を採用した、第2世代SGPを採用しています。ねじり剛性:+28%、サスペンション取付点の剛性では+75%と、大幅な剛性向上を実現。WRXの高いパフォーマンスと、2020年代をリードする高い衝突安全性能を実現しています。
サスペンションでは、路面に対する追従性を向上させるために、ストロークを拡大。ガチガチに動かぬガッツリ系ではなく、しなやかに路面に追従する、滑らかかつ上質な仕立てとしています。勿論、レヴォーグのSTI Sportに採用される電子制御ダンパーも採用。コチラは、センターインフォメーションディスプレイで、モードセレクトが可能です。
また、レヴォーグ同様に、操作系とアシスト系を別軸とした、2ピニオン方式の電動パワーステアリングを採用。細やかなステアリングフィールと、僅かなステアリングインフォメーションを消さず、しっかりドライバーへ伝達する次世代のパワーステアリングシステムを実現しています。
ホイールは、17インチ仕様と18仕様の二本立て。19インチはSTI、ということなのでしょうか。米国仕様のWRXにだけリーズナブルな仕様が設定されていることに、嫉妬を抱くのは私だけでしょうか。
エクステリアを見ての通り、当然全幅は国内仕様のレヴォーグから拡大されており、+30mmの1825mm。全高はー30mmの1470mm、全長はー85mmの4670mm。これは、先代米国仕様車比で、全長+35mm、全幅+30mm、全高ー5mm。(※数値はインチ換算のため、5mm刻みで表記)レヴォーグより幅広く、短く、低い。そして、先代より、長く、広く、少しだけ低い設定です。但し、コチラは米国仕様車。スバルは、フェンダーパネルを作り変えることで、仕向地別に全幅を変更することがありますから、ご注意ください。
大胆に無塗装部分を設定し、何にも似つかない独特アピアランスを獲得。
デザインでまず目を引くのは、ヘキサゴン形状に切り抜かれた前後フェンダーと、それを取り囲むオーバーフェンダー。無塗装部分が、フロントバンパー下半部、サイドスポイラー、オーバーフェンダー、リヤバンパー下部と大幅拡大されており、過去のどのモデルとも似つかない独特のアピアランスを呈しています。
フロントエンドは、下半分がブラックアウトされたことで、ヘキサゴングリルの存在感がアップ。小ぶりなヘッドランプユニットと共に、印象的な立体的形状を構成しています。サイドでは、無塗装部分が更に際立ちます。フロントオーバーフェンダーにはアウトレットが設けられ、操縦安定性向上に一役買っています。リヤエンドは、無塗装部分が目立つものの、オーソドックスな印象。三角形のテールランプは、コの字というより、「7」字型。左右のコンビランプをブラックのガーニッシュが繋ぐ構成は、新型BRZに共通するモチーフです。
気になるのは、アンダースポイラーを装着した時、どう見栄えるのか。おしなべて、ロア部分がブラックアウトされていますから、腰高な印象は拭えないでしょう。それを嫌うユーザはアンダースポイラーキットを求めるでしょうが、ブラックだと目立たない気がするのです。伝統を打ち破って、敢えてボディ同色とすれば、ぐっと低く映えるでしょうが、果たして。。。
スバルで毎回話題にされるのが、コンセプトカーの再現度。新型WRXのコンセプトモデルは、2017年10月発表の「VIZIV Performance Concept」というちょっと古いモデル。両者を見比べる限り、今までになく再現度が高いように見えます。一見、市販車に採用されると思えなかった、無塗装部分の多用やヘキサゴン形状の前後フェンダーなど、大凡再現されていると評価して容易でしょう。
駆動系のトルク容量に束縛されるエンジンパフォーマンス。
はて、エンジンスペックがS4よりダウンしていることに、ガッカリする人も少なくないことでしょう。S4比で、最高出力25ps・最大トルク5kgmダウンという驚愕の数値に、萎えてしまった方も居るかも知れません。新型レヴォーグしかり、最近のスバルはド派手なスペックを与えることに躊躇しているようにさえ見えます。スバルのエンジン技術は、ガッカリするほど退化してしまったのでしょうか?
実際のところ、実情は少し違います。エンジンスペックを束縛しているのは、エンジン技術ではなく、トランスミッションとAWDシステムなのです。スバルはGC8以来、ずっと同じ駆動系をモデファイしながら維持してきました。この駆動系は、スバル最高の出力・トルクを有するEJ20型に合わせたもの。そのため、AT系の駆動系のトルク容量も、これに符号して設定されてきました。
もし、2.4L直噴ターボから、パワーを絞り出せば、350ps級は当然朝飯前。しかし、これに耐えられる駆動系をスバルは有していないのです。つまり、エンジン出力を引き上げようにも、駆動系のトルク容量に限りがあるのです。
もし、350ps級を狙うのなら、トランスミッションからデフに至るまで、駆動系すべてを刷新せねばなりません。しかし、今は2021年。あと何年使えるから分からないコンポーネントにコストを割けるほど、スバルに余裕はありません。
電動化技術に依存しないモデルは、恐らくWRXが最後となるでしょう。この先は、THSを内蔵した新型トランスミッションが主流となって、スバルの新たなスタンダードとなるはずです。
さてさて、皆さんがお待ちかねなのは、米国仕様車にあらず。日本仕様のWRX S4でしょうし、いつしか登場するであろうWRX STIでしょう。コチラについて気になる方は、根拠のない噂が飛び交うネットをサーフィンするくらいなら、足繁くお近くのスバル店に通うことをオススメします。少しだけ、何かヒントを教えてくれるかも、、、知れません。