スバルショップ三河安城の最新情報。北米専売のレガシィ・セダン、衝撃のマイナーチェンジ。| 2022年5月21日更新
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コンサバ路線から、大胆刺激的なアピアランスへ、大進化。
スバル史上最大のインパクト。衝撃のマイナーチェンジ。インプレッサ・セダンと区別が付かない程に、超コンサバ路線だったレガシィ・セダン。まさかやっ!あり得ん!!と叫ばんばかりの激変ぶり。・・・・どうして、こうなったのか?なぜ、ここまでする必要があったのか?何のために、こうなったのか・・・?そこには、スバルの戦略が秘められているはずです。
ただ、衝撃のデザイン変更はフロントエンドのみ。インプレッサに激似のテールエンドは、何とそのまま。激アグレッシブなフロントエンドと、激コンサバのリヤエンド。激辛カレーのご飯が、健康的な五穀米。そんなイメージでしょうか。何だか、見てるコッチがおかしくなりそうです。
フロントエンドは、ヒュンダイ・エラントラやフォード・フュージョンのようなシングルフレームデザイン。このようなデザインは、5〜6年前に一般化したもので、特段珍しいものではありません。このレガシィ・セダンにインパクトを与えているのは、このシングルフレームグリルではなく、エンブレムを左右に貫く「バー」でしょう。
通常のデザイナーなら、このバーをヘッドランプの「コの字型」アイラインの下端に繋げるでしょう。しかし、スバルのデザイナーは、ヘッドランプとは繋げず、その下にめり込ませたのです。その結果、アイキャッチはヘッドランプから、シングルフレームグリルとなり、その特異なデザインを強調しています。
なぜ、マイナーチェンジをするのか。そのの意味と理由は何か。
一般的に、マイナーチェンジには2つの意味があります。
一つは、陳腐化防止。デビューから凡そ3年を迎え、そろそろ見慣れて(見飽きて)きた頃に、細部のデザインを変更することで、商品力を強化します。前期型、後期型をアピアランスでハッキリ区別できれば、後期型所有者の満足度が向上しますし、購入・代替えの動機ともなります。これは、長きに渡って日本車で実施されてきたタイプのマイナーチェンジです。GD型インプレッサやレクサス・ISのように、モデルライフが長期に渡る場合は、2回目のマイナーチェンジが実施される場合もあります。
もう一つは、他モデルのデザイン要素継承による、ブランドイメージ強化です。他モデルの新型に対し、戦略的に新しいデザイン要素を与えてデビューさせた場合、既存モデルとの共通性が失われます。そこで、既存モデルにも同じデザイン要素を与え、共通性をもたせるのです。レクサスは、その一例でしょう。スピンドルグリルをシングルフレーム化した際、既存モデルもマイナーチェンジによってシングルフレーム化。新型モデルとの共通性を維持しました。
しかし、マイナーチェンジにはもう一つ、重要な役割があります。それが、3つ目の次期モデルとの橋渡しです。通常、次期モデルのデザインは、デビューの2〜3年前には凡そ確定しています。つまり、マイナーチェンジの段階で、次期モデルのアウトラインは決定しているのです。そこで、後期型モデルに次期モデルのエッセンスを与えることで、大掛かりなデザインの変化を予告し、イメージに連続性を与えるのです。このような事例は、ブランドのデザインコンセプトを刷新する場合に散見されます。
それは、次世代スバルデザインの予告。他モデルへの波及は必至。
恐らく、レガシィ・セダンのマイナーチェンジの「理由」は、3つ目にあります。つまり、このフロントフェイスは、スバルの次世代デザインの予告、と考えて良いでしょう。最早、SUVが主流派となっている北米市場。セダンの販売は凋落傾向。フォードに至っては、セダン販売の完全終了を予告しています。デザインで大胆な「実験」を行うには、後期型レガシィ・セダンは最適なのかも知れません。
つまり、スバルの次世代モデルは、ヘキサゴン形状の大きなシングルフレームグリルをコアに、コンパクトなヘッドランプを持ち、エンブレムを貫くバーがその下に食い込む。そんなデザインを持って登場するはずです。
既に各誌に掲載されている通り、近く登場するスバルの新型車も、ヘッドランプから長く続くバーを持っているようです。ところが、こちらはヘッドランプ内の要素へ繋がるようで、この処理の方がシンプルかつコンベンショナルに見えます。恐らく、過激さを意図的に抑えた処理なのでしょう。
となると、後期型レヴォーグや次期インプレッサは、このようなアグレッシブなデザインを持つ、という事になります。WRXなどは、あの無塗装パネルの要素に、シングルフレームグリルが追加されるのですから、大変個性的なデザインになりそうです。
先ごろ、アウトバックも大胆なマイナーチェンジを実施しています。グリルは一気に巨大化され、周囲への馴染むことを拒否したかのように、直線的な形状を採用しています。コチラは、次世代SUVのデザイン要素として受け継がれはずです。恐らく、次期アセントが最初の次世代SUVデザインをまとって登場する最初のモデルとなるはずです。なお、次期フォレスターは、日本市場を考慮してもう少し「まろやかな」デザインとなるものと思われます。
個性化を突き進むプレミアムブランド。その理由とは。
レクサスがグリルお化けになったり、BMWのキドニーグリルが不格好に巨大化したり、メルセデスが溶けたアイスクリームのようになるのは、各OEMが新興市場でのブランドイメージの強化に注力しているからです。
ここ10年、BRICS(1国抜けて、BICS??)や中東地域で、自動車市場は急激に拡大しました。これら地域でプレミアムブランドを成功させるには、まずはブランドを認識してもらう事が第一歩。それには、TVCFやネット広告、もしくは擦れ違い様に、クルマそのものを強く印象付けることが肝要です。そのためには、デザインに他ブランドと決して見間違うことのない、強いインパクトが不可欠。消費者の脳内に「爪痕」を残さねば、勝負は始まらないのです。
こうした背景もあって、プレミアムブランドを中心に、そのデザインコンセプトはより強烈になってきており、セミプレミアムブランドまで波及しつつあります。トヨタ・カローラなどは、その好例でしょう。誰しもが、絶対に見間違うことのないデザイン。1回見たら、決して忘れないデザイン。そうしたデザインは、今後も増え続けていくことでしょう。それも、かつてのクリス・バングルのニューエッジや初代アウディ・TT、マツダの鼓動デザインのような難解なものではなく、より個性的でより味の濃いデザインが増えていくはずです。
電動化時代のスバルは、個性派デザインブランドへ脱皮する。
レガシィ・セダンはそうした時代の流れに沿って、個性の強化を図ったものと考えられます。ここ20年、スバルはGD系の手痛い失敗を糧に、薄味デザインを志向してきました。エクステリアデザインさえ機能の一環とすることで、思慮深いブランドであるという自己表現の一部としてきたのです。しかし、そうした難解なデザインは、個性花盛りな現代では、今や何のインパクトも持ちません。
だからこそ、スバルは一歩踏み出す決意をしたのでしょう。スバルは水平対向エンジンとシンメトリカルAWDという、技術的個性をブランドイメージの柱に据えています。しかし、技術的個性は自動車に深い理解があって初めて成立するもの。自動車市場が発展段階にある国では、技術的個性で訴求力を確保するのは困難です。加えて、電動化時代を目前にして、内燃機関を個性とし続けるのは無理があります。
スバルがBRICS(あるいは、BICS)で成長を期待するならば、よりインパクトのあるデザインを志向するのは、寧ろ自然なことなのです。レガシィ・セダンは、将来のスバルを予告する存在となるでしょう。残念ながら、日本でその姿を拝むことはできません。その「弟」が登場する日を待ちたいと思います。