2018年BTCC、タイトル防衛はならず! [2018年10月06日更新]
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第8ラウンド「ノックヒル」:サットンがレース1で優勝するも、レース2は失格!!
イギリスらしく、重たい空から雨が落ちる中のレースとなった、BTCCの第8ラウンド・ノックヒル。我らがスバル・レヴォーグを駆る、アシュリー・サットンにとっては、努力が報われぬ辛い戦いとなりました。
サットンが、タイトル争いで真っ向勝負を挑んでいるのは、ワークスBMWを駆るコリン・ターキントン。実は、彼は2年前までジェイソン・プラトと共にレヴォーグを駆っていたドライバー。
2016年シーズンは、中盤からタイトル争いに食い込むも、シビック勢の前に敗北。そして、2016年末にBMWに電撃移籍。2017年シーズンは、レヴォーグを駆る新進気鋭のアシュリー・サットンと最終戦までもつれ込む、激しいタイトル争いを展開しています。ところが、ターキントン絶対有利の中、最終戦で悲劇的なクラッシュでリタイヤ。サットンが、土壇場の逆転でタイトルを獲得したのです。
つまり、ターキントンにとっては2年連続の屈辱。2018年のBMWは、4台を要する万全のワークス体制。悲願のタイトル獲得へ向けて、サポート体制は万全です。
ノックヒルサーキットは、イギリスらしい緩やかな起伏とシンプルなレイアウトが特徴です。現代的なコースレイアウトと違って、常に左右にどちらかに荷重が掛かっており、ブレーキングには相当のテクニックを要します。最終コーナーは登りのヘアピンで、ここが唯一のタイトコーナー。ツイスティなレイアウトを得意とするスバル勢には、ちょっと辛いサーキットです。
予選PPは、シビックのダン・カミッシュ。BMW勢が俄然好調で2~4位を占拠する一方、サットンは8位。タイトル争いには、厳しい展開です。もう1台のレヴォーグを駆るジェイソン・プラトは絶不調で、18位。サットンは、まったくサポートが見込めない中、厳しい戦いを強いられています。
第22戦:サットンが反撃の狼煙。ウェットで抜群の速さ。
スタートから有り得ないほどの豪雨。後方はウォータースクリーンの真っ只中。ウェットで抜群の速さを見せるサットンは9周目には3番手浮上。10周目にはBMWのエース、ターキントンの背後にピタリと付けます。11周目、ブレーキングで並びかけると、容易くターキントンをパス。遂に、2番手。勢いが止まらないサットンは、1秒以上のビハインドを一気に巻き返すと、そのまま1位のカミッシュのシビックをパス。セーフティカー導入となった、レース再開は残り4周。サットンは、そのまま逃げ切って優勝。ターキントンが2位を獲得しています。
第23戦:独走でトップチェッカーも、失格を喫する!
度々のクラッシュで、繰り返しセーフティカーが導入される荒れた展開。その中でも、サットンは終始安定した走りを見せて、トップを堅持していきます。ところが、21周目の1コーナー、アウディがフロントのグリップを完全に失った状態で激しくクララッシュ。ここで、遂に赤旗掲示。レースは打ち切りとなります。1位サットン、2位はイングラム。ターキントンは6位。と、シリーズ上位3人が逆順にゴールするという、願ってもない展開。
ところが、ここで大事件。何と、スキッドブロックの厚さが規定に足らず、失格になってしまったのです。同様に、2位のイングラムも失格!6位でチェッカーを受けたターキントンが、俄然タイトル争いで絶対有利となってしまいます。
第24戦:20台以上をオーバーテイクする、雨中の大激走。
最後方スタートのサットンは、雨中の激走を見せます。が、ターキントンは3番手走行で、2番手のモーガンを追う、楽な展開。サットンは、レース折り返しの14周目には、何と15台パスして、13位まで浮上。だんだんと滑り出すタイヤを労りながら、サットンは凄まじい勢いで、次々にパスしていきます。優勝は、フォーカスを駆るチルトン。2位にターキントンが入り、サットンは8位でチェッカーを受けました。
第9ラウンド「シルバーストーン」:サットン大苦戦!!タイトル争いは絶望的。
モータースポーツの聖地の一つ。イギリス、シルバーストーン・サーキット。BTCCの第10ラウンドは、ショートコースで争われます。ストレートが長く、明らかにFF勢が有利と見えるレイアウト。スバルやBMWには、苦戦が予想されます。
予選では、タイトル争いの3名が苦戦する波乱の展開。ターキントンは18位、イングラムは19位、サットンに至っては何と25位からのレースとなります。
第25戦:ターキントンがしぶといレース運び。サットンは不振。
第25戦、スタート。タイトル争いで後のないサットンは、いつになく厳しいプッシュ。先行車のバンパーをドツキまくり、隙間をこじ開けて前を追います。ただ、残り10周でまだ15番手。厳しい戦況に変わりありません。トップ争いは、フォード勢。ピンクとイエローのど派手な2台がマッチレースを繰り広げます。優勝はトルドフ、2位にチルトン。ターキントンは8位ながら、サットンは11位、イングラムは15位と苦しい結果に終わります。3位のサットンとターキントンとのポイント差は、54ptに広がります。
第26戦:修復が間に合わず、ピットスタートの憂き目に。
ここでも不運な事件が発生します。サットン車に、エアジャッキで下ろす際にダメージが発生。修理が時間内に終了しなかったために、オフィシャルはピットスタートを命じたのです。敢え無く最後尾スタートとなったサットンですが、ペースが上がりません。そのまま、サットンは最後方でチェッカー。
対する、イングラムは怒涛の勢い。4周目には、躊躇なくターキントンをパス。6周目には、4番手進出。7周目には、モーガンとチルトンの2台を3ワイドから一気にパス。トップのトルドフも圧倒言う間に料理。凄まじい勢いで優勝。タイトル争いでも36pt差に一気に詰め寄ります。逆に、サットンはタイトル争いは絶望的。62pt差に沈み、ランキングも5位まで後退してしまいます。
第27戦:遂に、タイトル喪失が決定。防衛ならず。
リバースグリッドの第27戦。ランキング上位のマシンがおしなべて好調な中、サットンは一人逆境に立ち向かっていました。6周目には、チームメイトのプラトを交わして、18位。9周目にセーフティカー導入。ここでも好調のイングラムは、ターキントン等々を軽々パス。2番手に進出。レース再開、好調はターキントン。1位のモファットのメルセデスを追うイングラムの背後で、プレッシャーを掛けていきます。結局、オーダーは変わらず、そのままチェッカー。サットンは12位でチェッカー。ランキングは4位に浮上するも、ポイント差は73pt。この時点でタイトル喪失は決します。
最終ラウンド「ブランズ・ハッチ」:遂に決した、2018年BTCC。タイトルは、BMWのターキントンが獲得。
ブランズ・ハッチは、第2ラウンドと異なるロングコース。林間を抜けるセクションはかなり高速。それでも、周り込んで加速するセクションが多く、FR勢にとって決して不利なレイアウトではありません。しかし、予選上位は、FF勢のシビックが独占。何と5位までを占拠します。サットンは10番手スタートとなります。
第28戦:サットン、スタート失敗で混戦に巻き込まれ、0周リタイヤ。
決勝スタートでは、珍しくサットンが出遅れるミス。これが、完全に祟ります。2コーナーのタイトコーナーで接触。スマイリーのシビックに弾き飛ばされて、そのままリタイヤとなってしまったのです。
ランキング2位のイングラムは大量ポイント獲得が必須。が、ターキントンのチームメイトのコラードがブロック。これが、イングラムは致命傷。14位でのゴールが精一杯。対して、ターキントンは12位と、さらにリードを広げます。
第29戦:BMWのターキントン、辛くも2ptを獲得してタイトル奪取。
サットンはスタートで、いきなり5台をパス。1周終わる時点で、早くもチームメイトのプラトの後方まで追い上げます。一方、トヨタのイングラムは、果敢なアタックを見せます。次々に先行車をパスし、7周目には7位に浮上。ここで、2位走行のジャック・ゴフがトラブルでストップし、セーフティカー。しかし、この時点でターキントンは、13位。これでは、タイトルは決してしまいます。
レース再開、イングラムはモファットをパスして、遂に4位。ターキントンは2台のメルセデスの激しいチャージを受け、厳しい展開。そして、12周目。モーガンに激しく攻められたターキントンを、サットンがパス!焦ったのか、ターキントンはロイドと接触してコースオフ!イングラムは、3位のジョーダンを激しく攻めます。しかし、追撃及ばず4位。ターキントンは、辛くも2ptを追加して、見事2018年のドライバーズチャンピオンを獲得します。
サットンは、追撃を続け8位でチェッカーを受けています。
第30戦:BTCC史上に残る激戦。0.03秒差でサットンが、劇的な優勝を飾る!!
2018年シーズン最終戦。8位チェッカーのサットンは、3番手の好位置。カーナンバー1を手放す最後のレースでもあります。ここで、サットンはディフェンディングチャンピオンらしい、BTCC史上に残る激しい熱戦を展開します。
スタートは完全に失敗。一旦、4番手まで後退します。先行するのは、クックのヴォクスホール、オースティンのアルファロメオ、そして、チルトンのフォーカス。サットンの後方から、イングラムが隙きを狙います。6周目、チルトンに並びかけて、やっとパス。ここからペースを上げると、一気にオースティンのテールに喰らいつきます。7周目には、これもパス。残すは、クックのみとなります。
9周目、サットンはクックのテールを捉え、バンパーtoバンパーの激しいトップ争いとなります。コーナー毎に並び掛けますが、クックも動じず素晴らしい攻防戦。10周目には、一旦パスするも、クロスラインでクックが並びかける。2台は、そのままコースほぼ1周を、サイドbyサイド!!
そして、クックが譲らぬまま、遂にファイナルラップ。クックが優勢、勝負は決したかに見えます。しかし、ここからがサットンの本領発揮。最終セクションまでじっくりテールに張り付くと、最終コーナーでアウトから並びかける!絶対に不可能とも思えるチャレンジ。が、サットンはクックのテールサイドを軽くプッシュ。ここで若干失速させると、コントロールライン上では0.03秒差!!見事、逆転優勝を果たしたのです!!