動的質感というキーワードのもと、スバルはどう進化するか。 [2016年02月05日更新]
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スバルは、このビッグマイナーで何を実現しようとしたのか。
スバルは後期型フォレスターにおいて、ステアリングの応答性と正確性を高めようとしました。そのためには、よりクイックなステアリングギア比が必要であり、それと共にタイヤの位置決めを強化する必要があったのです。しかし、タイヤの位置決めを強化すると、タイヤ入力がごまかされずにボディに伝わるので、乗り心地やロードノイズが悪化する傾向にあります。プレミアムブランドに伍するSUVに進化させるには、より緻密に入力を「いなす」高度なサスペンションセッティングが求められるのです。
サスペンションは、エンジンやミッションと違って劇的に進化することはありません。地道な改良を続けることが肝要です。スバルは、コストを度外視しても自らに課した目標(際立った魅力を持ったブランドへの進化)を達すべく、ここまで大規模なマイナーチェンジに踏み切ったのです。
走ると分かる、ビッグマイナーの意義。
前期型フォレスターは強いフラットライド感が特徴で、懐深い優しい乗り味が魅力でした。一方で、接地感は少々不足気味でした。もちろん、前期型でも充分に優れていたのですが、スバルのエンジニア達は数多くの要改良箇所を見出していたのです。
後期型をドライブしてまず驚くのは、格段にレベルアップした高い静粛性です。これだけでも、ワンクラスステップアップした様に感じられるほど。ただ静かになっただけでは外界と間隔が隔絶されてしまいますが、そんなことは杞憂に終わりました。足廻りの精度が増したお陰で、路面からのインフォメーションがありありと感じられるようになったのです。ノイズはカット、サウンドとインフォメーションはしっかり伝える、という基本に根ざした改良が施されています。
ここで、一般的なSUVのコーナリングを思い浮かべてみましょう。ブレーキングでは、前にツンのめるような不安定なピッチング。ここでブレーキを抜くと、ポンっと荷重が抜けてしまいます。ターンインするとよろめくように深くロール、アクセルを踏むとダラーっとアウトに流れていく・・・。コーナリングのリズムが掴めません。大袈裟な・・と思われがちですが、実際にはこんな走りのSUVが多いのも事実です。
後期型フォレスターでは、ブレーキングしてフロントに荷重を掛けターンイン、クリッピングでアクセルオン。アウト側にグッと荷重を掛けながら、キレイに立ち上がっていく・・・この一連の流れが非常にスムーズに繋がるようになりました。ピッチングにしろ、ロールにしろ、荷重が掛かるとスクワットするように力強く沈み込んでいくので、その間の挙動が安定します。その先の挙動が予想できるので、不安感がないのです。これなら、安心してコーナリングをすることが可能。
動的質感のキーワードを掲げて以来、「乗り心地」が明らかな進化を遂げていることはここで繰り返し記事にして参りました。このフォレスターでも、同じような劇的な進化が感じられます。高速道路の継ぎ目をスタッスタッと軽快にいなしていきますし、大きめのアンジュレーションでも丁寧にタイヤが路面に追従するので、挙動は常に落ち着いています。それでいて、インフォメーションは充分。
後期型フォレスター、その走りはツーランクアップくらいの実力に進化したといっても過言ではありません。動的質感の追求から生まれた後期型フォレスター。その進化には、驚くばかりです。
今後、スバルはどれだけ進化を遂げていくのか。
後期型フォレスターの登場によって、富士重工製のすべてのモデルに動的質感をテーマにした改善が完了したことになります。走りの質は劇的な向上を遂げ、ワンクラス上のハンドリングを手に入れました。見た目だけの品質感ではなく、走らせた時に感じる品質感。それこそがスバルの目指す、動的質感の姿です。しかし、これはゴールではありません。スバルのエンジニア達はまだまだ改善の余地を探して、今日もテスコースを走り続けているはずです。もちろん、今後も年次改良のタイミングを生かして、どんどん改善が施されていくでしょう。
スバルならではの魅力とは何か。それは、走りと安全であり、技術とその仕上がりに対する徹底的なこだわり。そして、クルマに対して常に全力で真面目である。そんな姿勢が、動的質感という言葉で方向付けがなされ、すでに数年が経過しました。その成果はカタチとなって徐々に現れつつあります。
そして、何よりも鋭意開発中の次期インプレッサ。その仕上がりに俄然期待が高まってくるのです。前面新設計のプラットフォームに、新開発直噴ヘッド採用の新エンジン。次期インプレッサには、北米におけるアウトバック、フォレスターを超える成功が求められているのです。