鳥肌モノのモータースポーツシーン。ベスト7選。 [2018年03月05日更新]
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7.2003年 MotoGP 南アフリカ
日本のモータースポーツ界最大の喪失と言えば、稀代の天才ライダー加藤大治郎でしょう。「大ちゃん」と呼ばれ皆に愛された彼は、2003年MotoGP開幕戦の鈴鹿でシケインの進入でクラッシュ。2週間の治療は実らず、帰らぬ人となります。
その死からたった6日後。MotoGPは、南アフリカGPの決勝を迎えます。スタート前に黙祷を捧げ、重苦しい空気が立ち込める中、レースがスタート。ここで一人のライダーが突然の大進化を遂げます。大治郎のチームメイト、セテ・ジベルナウ。事前予想では全くのノーマークだった彼は大治郎が憑依したか、絶対王者ロッシと一歩も引かぬ激しいバトルを繰り広げるのです。
レース後半、ジベルナウはロッシの猛攻を受け、接触せんばかりの熱戦を展開。路面に黒々とブラックマークを引きながら、2台はコーナーごとに順位を入れ替え、ブレーキングでも加速でもリヤタイヤはスライドしっ放し。息を呑む異次元のバトルは、フィニッシュラインまで続きます。
0.363秒差で逃げ切ったジベルナウはマシンの上に高々と立ち上がり、何処までも澄み切った大空を両手で天高く指差すと、右手を左胸に当てます。そこにあったのは大治郎のゼッケン「74」でした。