レガシィ・アウトバック、遂にフルモデルチェンジ。SGPを得て、格段の進化。〜追記完了〜 [2019年04月23日更新]
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レシオカバレッジを拡大した、リニアトロニックの改良型を継続採用。
トランスミッションは、インプレッサ以降に採用されている新世代のリニアトロニックを搭載。チェーンピッチを小さくして変速比を大きく取り、レシオカバレッジを拡大。高速巡航時の使用回転域を下げて、燃費向上を図っています。
残念ながら、現時点では多段ATの計画は存在しないようです。ただ、他社が多段ATへの回帰を図る潮流の中、スバルだけがCVTに固執するのは得策とは言えません。電動化を考えれば、ミッションは他社と供用可能な構造としておく方がベターでしょう。
CVTの弱点は、変速中に著しく低下する伝達効率です。そのため、リニアトロニックでは高負荷時にはステップ変速とすることで、伝達効率の低下を抑制しつつ、ドライバビリティを改善しています。その結果、CVTの悪癖は相当に抑え込まれており、不自然さとダルさを感じることは本当に少なくなっています。
多段ATのメリットにレスポンスを挙げる方がいますが、それは違います。多段ATの場合も、巡航時は意図的に進段させて回転数を下げています。再加速するには所謂キックダウンを行って、シフトダウン完了後に加速を開始します。また、発進時もやはりトルコンを滑らせて「半クラ」状態を再現します。その点は、CVTも多段ATも変わらないのです。
百聞は一「乗」に如かず。CVTを忌み嫌う方も、まずは一度ご体感下さい。CVTの滑り感が気になる場合は、アクセルの踏み方を変えてみましょう。グッとイジワルに踏み込むのではなく、低μ路のように変速を待ちながら踏んでいく。これだけでも、CVTの滑り感は相当に解消されます。すると、何処までもスムーズに伸びていくCVT特有の加速感が、むしろ気持ちよく感じられるでしょう。
アウトバックの伝家の宝刀、四輪駆動システム。
およそ、クロスオーバーでは信じられぬほどの悪路を次々にこなしていくアウトバック。その姿には、驚く他ありません。それを可能するのが、220mmの最低地上高とスバル伝統の四輪駆動システムです。
この四輪駆動システムは、アクティブトルクスプリットAWDと呼ばれ、1987年10月に登場したアルシオーネに初搭載された「ACT-4」が発展したものです。前後輪のトルク配分を電子制御することで、リアルタイムに駆動力を配分します。優れた性能の秘密は、電子制御技術ではありません。機械・機構としての素性です。
もし、ドライブシャフトが左右不等長だったとすると、ドライブシャフトのねじれが左右非対称となるため、トラクションにズレが生じます。
当然ながら、スバルのドライブトレインは完全左右対称。前後のドライブシャフトも、もちろん左右等長です。その上、縦置きエンジンのトルクを向きを変えずにトランスミッションに流し、そこからセンターデフ・前後デフへと伝達します。駆動系全体が、トルク伝達に自然な構成となっているのです。
また、水平対向エンジンは重心が低くなる上に、左右に広いためエンジンマウントで効率よくトルク反動を受け止めることが可能です。これも、不用意なトルク変動を抑制するのに役立っています。加えて、水平対向エンジンは2気筒ずつの同爆であり、これはトラクションに優位です。
こうしたスバル本来の技術的特徴が、図らずもスバルの四輪駆動システムの性能を高めているのです。つまり、他メーカーには決して真似できないものなのです。
新型アウトバックに搭載されるアクティブトルクスプリットAWDは、ここに更に最新のX-MODEを加えたものです。機構・機能的にはフォレスターのシステムと同様ですが、その操作はインフォテイメントシステムを通じて行われるようになります。
苦節四半世紀。やっと、日の目を見たアウトバックの苦労半生。
クロスオーバーという新ジャンルを開拓した、アウトバック。市場に受入れられるには、20年もの歳月が掛かっています。
1968年に米国に導入開始された360は、大失敗。しかし、レオーネが70年代に入ると米国中部を中心に徐々に評価を確立していきます。乱暴に扱っても壊れないタフさ、クロカン顔負けの走破性。そして、スバルならではの技術的個性。スバル・レオーネ4WDは、「ファーマーズカー」として、厚い信頼を得るようになっていました。
ところが、1989年にデビューした初代レガシィでは、持ち前のタフさが薄れ、市場評価は伸びませんでした。タフネスさを全面に押し出したいスバルは、2代目レガシィ・ツーリングワゴンをベースに本格派の走破性や走行性能を作り込んだモデルを作り出します。それが、1995年に誕生した初代アウトバックでした。
しかし、妙に車高の高いワゴン、ちょっと奇天烈なアウトバックは、たちまち人気を獲得するという訳にはいきませんでした。その人気に火が付いたのは、2010年代後半の直近のこと。本格的なSUVに生まれ変わったフォレスターの販売台数が急激に伸び始めると、その上位モデルとしてアウトバックの販売台数も伸びていったのです。
今や、月間1.5万台を販売する人気車種として、スバルの米国販売を牽引する存在に成長。勢いに乗ったスバルは、さらに上級モデルであるアセントを発売。弟分のクロストレックと共に、SUV4兄弟でさらなる成長を見込んでいます。
さて、日本導入はいつになるのか。
別項によりますが、レガシィB4の国内生産は終了となる見込みです。もし、右ハンドル仕様のレガシィB4を継続するのであれば、SIAで右ハンドル車を生産し、国内やオセアニア等に輸出せねばなりません。3列シート車不在にも関わらずアセントを米国専用とし、各モデルのグレード構成さえ縮小する一方のスバルが、わざわざそれだけの手間を掛けるでしょうか?情勢は、極めて厳しいと言わざるを得ません。
となると、新型アウトバックの国内発売も行われない可能性はあるのでしょうか?
日刊工業新聞の情報で明記されているのは、あくまでもB4です。わざわざB4を指定するのですから、アウトバックは対象とはならないでしょう。オセアニアでのアウトバックの需要は少なくないはずですし、レガシィの命脈が本国日本で途切れるのも憚られるはずです。
つまり、次期レガシィはアウトバックのみが国内生産される、という事です。発売時期は、2020年にズレ込むものと思われます。ただ、そこで心配されるのが、ファンが待望する2.4L直噴ターボの国内導入があるか否か。
現行アウトバックは初期こそ好調でしたが、後半に入って失速気味。。。この流れは、レヴォーグも同じ。そう、ツーリングワゴン市場自体が縮小してしまっているのです。
その最中にあって、2種目のエンジンとなる2.4L直噴ターボ導入の可能性はあるでしょうか。残念ながら、スバルがそれだけの手間を掛ける可能性は低いと言わざるを得ません。
つまり、次期アウトバックは2020年前半に登場し、エンジンはフォレスターと共通の2.5L直噴NAのみとなります。クルマの出来栄えは、SGP採用によって相当良いはずです。ところが、デビュー当初は、セダン廃止がマイナスの話題として先行するでしょう。新型アウトバックが、そんなマイナスの話題を跳ね返すだけの魅力を持って登場することを願うばかりです。