家にいよう。特別企画 クラブ・スバリズム歴史発掘!技術的偉業10選 第1弾「スバル 360」 [2020年04月22日更新]
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てんとう虫と呼ばれた、国民車の誕生。
発表日は、昭和33年3月3日と定められていましたから、残すはたった数ヶ月。技術者たちは、決して屈することなく赤城山に挑戦を続けます。そして、2月4日。遂に試作車は赤城山を克服するのです。所要、35分。無事登頂に成功したのです。
それから、1ヶ月。予定通り、丸の内の富士重工本社で発表記者会見が行われます。しかし、何を考えたのか、実車が用意されていません。当然、記者たちは猛抗議。そこで、群馬から急遽陸送。到着した2台のてんとう虫は、早速記者たちに取り囲まれます。スバル・360、その価格は42.5万円。富士重工の技術者たちには、手が出ない高嶺の花でした。
しかし、高度経済成長がその価格を庶民の手の届くものに変えていくのです。昭和35年に年間17,000台だった販売台数は、昭和40年には52,000台へと一気に伸長していきます。
愛らしいデザインをまとった「てんとう虫」は、国民車として長く親しまれていくことになります。
固定概念に縛られない航空技術による軽自動車。
スバル技術陣は数多の困難を克服し、不可能と言われた目標性能を達成しました。特筆すべきは、彼らが乗用車の経験を持ち合わせない、全くの素人だったということです。それ以前に、乗用車を少数を試作しているものの、実質的にはスバル・360が処女作なのです。そんな彼らは、世界自動車史に残るユニークな乗用車を生み出したのは、決して偶然ではありません。
第二次大戦下、航空機は凄まじい勢いで進化を遂げています。固定脚の布張り単葉機から、全金属製のジェット戦闘機へ。そうした激変の時代を生き抜いてきた技術者たちにとって、固定観念に縛られることなく、全くゼロからクルマを作り上げていくことは、むしろ自然なことだったのです。
クルマとは斯く斯く然々・・・。そんな固定観念の元では、スバル・360は絶対に生まれなかったことでしょう。