STIが新型BRZ・GT300を公開。Super GTの裏側に迫ってみました。 [2020年12月24日更新]

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文責:スバルショップ三河安城 和泉店

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海外進出を機会に独立独歩の道を歩み始めた、新生Super GT。それを維持するGTAの苦労。

2000年代前半、全日本GT選手権は幾つか海外戦を展開していました。2002年からは、マレーシア・セパン。2005年には上海でのレースも予定されていました。その結果、FIAの規定により国内選手権の規定を満たさないこととなり、オーガナイザーのGTAは2005年より選手権名を「Super GT」に変更することとします。この時点で、JAF管轄のレースでは無くなり、GTAは自立の一歩を踏み出すことになります。

勿論、海外でレースを行うには、各チーム莫大な予算を工面せねばなりません。それは、選手権がレーシングエンターテイメントとして充分繁栄しているからこそ、為せる業でもあるのを忘れてはいけません。また、分かりやすいレース展開と手に汗握る白熱のバトルが、アジア地域に人気を呼ぶことにも繋がったのです。GTAの目論見は、大凡成功していました。

この頃、全く新たな問題が顕在化します。GT300に、FIA-GT3マシンが大挙して参戦し始めたのです。これは、実に由々しき事態でした。GT300は、かねてより少ない予算でレーシングガレージに仕事を提供する、貴重なフィールドでした。これは、2000年頃にGT500がワークスエントリーのみとなった頃から堅持されてきた、GTAの絶対的な方針でもありました。

しかし、今やSuper GTは国際選手権の一つ。GT3の導入が世界的な潮流であれば、GTAとて無視することも「迫害」することも出来ません。止む無く、GTAはこれを受け入れることとします。ところが、GT3マシンは無改造を絶対とするカテゴリー。これでは、レーシングガレージのしごとはメンテナンスのみ。彼らの仕事は、全く失われてしまうのです。

そこでGTAが編み出したのは、自身が提供する共通シャシーをベースに、安価にオリジナルマシンを仕立てるというもの。これが、いわゆる「マザーシャシー」です。この試みも一応成功し、2016年にはシリーズタイトルも獲得しています。

FIA-GT3、マザーシャシーと来て、肝心のスバル・BRZは何処のカテゴリーかと言えば、トヨタ・プリウスと共に最も古い「JAF-GT」にカテゴライズされます。この規定は極端に緩いもので、FIA及びJAFの公認車両でなくとも、どれでもベース車両とすることが可能です。改造範囲も広く、BRZやプリウスのように、パイプフレームでゼロから組み上げた完全なオリジナルマシンでも参戦が可能です。

これだけ見ても、GTAがGT300の性能均一化にとてつもない苦労をしているのが分かるでしょう。出自も異なり、スペックも全く異なる数々のマシンのポテンシャルを、完全に均一化せねばならないのです。現在の処、その試みは成功しているように思われます。

 

スバルは、なぜGT300にワークスエントリーできるのか?それは、暗黙の了解あってのこと。

1993年(公式上は1994年)以来、連綿と守られてきた全日本GT選手権からSuper GTに至る系譜。その甲斐あって、今やSuper GTは人気シリーズとして世界で知られる存在となっています。その魅力の一つが、豊富なマシンバラエティにあるのは間違いないでしょう。プリウスやBRZと、フェラーリ、ランボルギーニが同じ選手権を争うなど、世界のどの国にも無いのですから。

GT500は、トヨタ、日産、ホンダが3社合意の元に行われるコンペティション。一方、GT300はバラエティに富んだマシンが争う、プライベータのためのカテゴリー。これを様々な工夫の元にGTAが演出することで、両者の明確な差別化を実現。そのお蔭で、Super GTは高い人気を維持してきたのです。これからも、Super GTが長らく繁栄を維持し、多くのファンを愉しませることを願って止みません。

ここまでご覧になって、「???」となった方は居ますでしょうか?そうです。スバルはワークスなのにも関わらず、なぜかGT300へのエントリーを許されているのです。おかしいですね。これまでも、無限がエントリーしたCR-Zやaprのプリウスは、実質的にはワークスエントラントだとして、GTAはそのポテンシャルの推移に細心の注意を払ってきました。予算の高騰はJSPCやJTCCの如く、ワークスやプライベータの撤退を招くからです。

であるならば、スバル・BRZの参戦はどうして許可されているのでしょう?これには一応言い訳があって、エントラントは「R&Dスポーツ」なのであって、スバル・STIはあくまでスポンサーなのです。でなければ、彼らは参戦は許可されません。

逆に言えば、スバルが本気になってGT300マシンを開発することは、絶対に許されないのです。恐らく、そうした暗黙の了解があって、セミ・ワークス的な参戦が許されているのでしょう、

もし、スバルがワークスの潤沢な予算を背景に、人財と技術を投入すれば、GT300など容易く制することが出来るでしょう。でも、それをしてしまうと、カテゴリーは崩壊してしまいます。勝ちたいけど、余り勝ってはいけない。BRZ・GT300は、非常にビミョーな立場に置かれたマシンなのです。

BRZが遅いのには、ちゃんとワケがあるのです。

 

文責:スバルショップ三河安城和泉店 営業:余語

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