スバルの航空宇宙事業の現状〜UH-2、V-22、F-X〜 [2021年10月02日更新]
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F-35A:105機、F-35B:42機を導入。しかし、F-35だけでは日本の防空体制は維持不可能。
現在、航空自衛隊はロッキード・マーティンの第5世代戦闘機「F-35A」「F-35B」の導入を進めています。既に全機退役した「F-4EJ改」、2030年代に退役が始める「F-2」、今後アップデートが見込めない「F-15J/DJ」のpreMSIP機、これら3機種の置き換えを目的に、CTOL(通常離着陸)型の「F-35A」を105機、STOVL(短距離離陸垂直着陸)型の「F-35B」を42機、計147機を導入する計画です。
「F-35」は、世界初のステルス戦闘機である「F-22」の技術成果を活かしつつ、21世紀のテクノロジーを導入することで、幅広い任務に対応する多用途戦闘機として開発されました。空軍の「F-16」、海軍の「F/A-18」、海兵隊の「AV-8B」の全てを1機種で置き換えるため、CTOL型、CATOBAR(艦載機)型、STOVL型の3タイプを同時開発するという、野心的な戦闘機開発計画として進められました。潜在的需要は3,000機以上に達するとされ、西側諸国17カ国での導入が既に決定しています。
航空自衛隊は、当初「F-22A」の導入を臨んでいました。ところが、自衛隊で相次いで情報漏洩が発覚。ステルス機の機密情報の流出を恐れた米国議会は、「F-22A」の禁輸処置を決定。望みは絶たれてしまいます。そして、2011年12月に日本政府は「F-35A」の採用を閣議決定。次いで、2018年11月にはいずも型護衛艦での洋上運用を前提に「F-35B」を導入することを決定しています。なお、最終組立拠点は県営名古屋空港内にある三菱重工小牧南工場内にあり、ここでノックダウン生産が行われています。
「F-35」は、ステルス性と汎用性を持つ新世代の戦闘機です。ただ、航空自衛隊は保有機のすべてを「F-35」で置き換えることは考えていません。航空機は、重大トラブルが発生した場合、同型機全機に対し飛行禁止処置をとります。もし、全機が「F-35」であった場合、我が国の防空体制は一時失われる事態となるからです。
航空自衛隊次期戦闘機計画に参画するスバル。2030年代を目指すその姿や如何に。
航空自衛隊は「F-2」退役後の2040年代の保有戦闘機について、次の3種とすることを計画しています。第一は、「F-15J/DJ」の大規模近代化改修機。第二は、現在導入中の「F-35A/B」。そして、第三が、国産開発となる次期戦闘機です。
中国及びロシアは既に第5世代戦闘機の導入を開始しており、我が国の防空体制を維持するには、これら新鋭機を凌駕する機体の導入が欠かせません。米空軍は第6世代機の開発を進めてはいるものの、「F-22A」に禁輸処置が取られたことから、第6世代機を日本が導入できる可能性は高くありません。そこで、日本政府は2020年に「F-2」の置き換えを目的とした、新たな次期戦闘機計画を本格始動させる事を決断します。
開発主体に指名されたのは、三菱重工。技術支援をロッキード・マーティンに仰ぎつつ、国内技術によって独自開発する方向で検討が進められています。スバルは次期戦闘機計画に開発パートナーとして参加。三菱電機、IHI、KHIなどと共に、2030年代の運用開始を目指して開発に取り組むことになります。次期戦闘機は、依然として初期開発段階にあるため、スバルの分担範囲は明らかにされていません。しかし、間違いなく開発の一翼を担い、その実現に貢献することになるでしょう。
そこで注目されるのが、スバルが長年進めてきた完全自律飛行に関する技術です。第6世代戦闘機では、自機のセンサーだけでなく、地上・海上・空中・宇宙の各種センサーによって構成されるネットワークを最大限活用して、敵機を効果的に撃滅するクラウド・シューティング技術が必須とされています。近年では、その構想はさらに進んで、複数の無人機を率いて空対空戦闘を行うことが検討されています。これを「忠実なウイングマン」構想と呼びます。自機は司令機として機能し、実際の索敵・攻撃を無人機に行わせるのです。これが実現すれば、ステルス機の弱点である搭載兵装の少なさを克服しつつ、少数機でも敵機編隊を確実に撃滅可能な強大な攻撃力を実現できます。
目下、次期戦闘機は開発の途上にあります。その姿が如何なるものとなるのか、如何なる性能を持つのか、一切明らかにされていません。しかし、スバルの技術が我が国の防衛体制強化に資することを期待しましょう。