WRC復帰が遠のく?2017年車両規定改正は廃案に。 [2014年12月13日更新]
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オーストラリアでVAB型「WRX STI」の競技ベース車両の発売開始。
長らくスバルのR4車両を制作してきたトミ・マキネンが、2017年からWRCに復帰するトヨタとの契約を発表するという、スバリストには残念なニュースが報じられました。この契約により、生粋のラリーストはスバル袂を分かつことになります。既に、彼のファクトリーのWebサイトは更新済みで、試作「86」4WDターボカーがトップに据えられています。
なかなか、メーカーとして全力投球すべきモータスポーツフィールドを見つけられずにいるスバルを尻目に、独自にラリー活動をはじめる現地法人が増えつつあるようです。
この度、スバル・オーストラリアは競技ベース車両の販売を独自に開始しました。少数を限定発売することを発表したこの車両は、FIAが新たに策定した「NR4」レギュレーションに準拠しており、オセアニアの伝説のラリーストである故ポッサム・ボーンのファクトリーと共同開発されたものです。
ポッサム・ボーンは、スバルWRC黄金期にサテライトチームのドライバーとして世界各国で活躍した優れたラリーストでした。1993年にはコ・ドライバーのロジャー・フリースを事故で失うも、APRC(アジアパシフィックラリー選手権)のドライバーズチャンピオンを獲得。しかし、それから10年後、誰からも敬愛された彼もまた、事故で天に召されてしまいました。今日、STIのGlobalサイトの競技者向けページには、世界各国のインポータの名がリンクされています。ポッサムボーンモータスポーツもそのひとつであり、オセアニアにおけるラリーカーの活動をサポートしています。スバルの草の根モータスポーツ活動を支える、こうしたネットワークは今でも各国のラリードライバーの夢をサポートしているのです。
一方、JRMは独自のVAB型「WRX STI」のNR4車両をテスト中。
イギリスからERCを闘うJRMは、昨年旧型のGVBを要して2014年シーズンのERCに参戦していましたが、この程新型「WRX STI」をベースとするRN4車両を発表しました。既に十分なテストは完了しており、エースドライバーたるマーク・ヒギンスもマン島でテストを実施したようです。
当然ながら、ボディシェルは新型ですが、EJ20をはじめとするドライブトレインはGVBからキャリーオーバーのはずですから、テストプログラムは順調に進捗しているようです。かつて、絶大な人気を集めたコリン・マクレーの母国のイギリスだからこそ、スバルにかける期待も大きいものと思います。不可解なことは、STIやスバルUKから何の発表もないことでしょう。この点が、このプログラムの進捗の行く末を不透明にしています。このプログラムに対して手厚いサポートがあらんことを切に願います。
「かつての栄光」は、いつ輝きを失うのか。
スバルは、本当に幸せな自動車メーカーです。世界各国の熱烈なスバリストが、こうして現地法人を動かしているのです。そうした熱きスバリストの脳裏には、マルク・アレン、カルロス・サインツ、コリン・マクレー、ユハ・カンクネン、トミ・マキネン、リチャード・バーンズ、ペター・ソルベルグなど、数々の名ラリーストに操られてきた、鮮やかなブルーに彩られたスバルのマシン達の姿が刻まれています。
しかし、その歴史は途絶えてしまいました。そして、次のプロジェクトの噂さえ耳にしません。それは、残念ながら現在のカテゴリーの多くが水平対向エンジンには不利だからでしょう。特徴あるこのエンジン型式では、エンジン搭載位置を限界まで下げきれず、低重心・センターマスというセオリーに沿ったマシン作りができないのです。ポルシェ「911」が今でも競争力を維持しているのは、ポルシェのレーシングカーが世界での最量販車種であるがために、RRという独特の形式を対象とした特別なレギュレーションが適用されているからです。そこまでの神通力はスバルには、残念ながらありません。
小生も日々店頭に立っていますと「スバルと言えば、ブルーでしょ。」というお話を、老若男女を問わず様々なお客さまから伺います。それほどまでにWRブルーのイメージは強烈だったのでしょう。再び、どこかのモータスポーツフィールドで新たなる伝説が作られる日が来るといいのですが・・・。それまで、楽しみに待つとしましょう。