レヴォーグとWRX S4が揃って、マイナーチェンジ。アイサイトも大幅進化。 [2017年06月08日更新]
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スバルの代名詞・ツーリングワゴンの系譜を受け継ぐ、レヴォーグ。
スロットルを踏み込んだ瞬間、湧き出るように高まるトルクでグングン加速していく。力強く、たくましく、痛快で、実に誇らしい。魅力あふれるボクサーエンジン。
景色が飛び去っていくそんな速度域でも、ステアリングはピタッと中立で安定。軽やかで、安定し、しなやかで、実にダイレクト。スタビリティあふれるシャシー。
ピタリとラインをトレースしていく、アイサイト・ツーリングアシスト。穏やかで、確実で、余裕があり、実に頼り甲斐がある。驚愕の完成度を誇るアイサイト。
このクルマを選んで、本当に良かった・・・。ステアリングを握る度に、確かな満足に包まれる。レヴォーグは、そんなクルマです。
クルマから個性が失われて久しい、昨今。これだけ、印象深く心に響くクルマは今や貴重な存在です。男らしく骨太な痛快モデルでありつつ、洗練された都会派の印象を持つと同時に、高いユーティリティを誇る。ライバルたるツーリングワゴンは数あれど、これだけ完成度の高いモデルがどれだけあるでしょう。もし、レヴォーグに匹敵する完成度のモデルであったとすれば、きっと600万円を下らないはず。
そんなレヴォーグが、この夏マイナーチェンジを実施します。より魅力あふれるツーリングワゴンへと進化を遂げた、レヴォーグ。その進化の詳細を見ていきましょう。
話題の中心は、アイサイト・ツーリングアシスト。
今回の話題の中心は、レベル2に匹敵すると言われるアイサイト・ツーリングアシストです。ver.3のハードウェアはそのままに、ソフトウェアの進化のみで先行車追従機能を追加。低速域での車線トレースを新たに実現しています。
これまで、レーンキープは65km/h以上でしか使えなかっただけに、0km/hから使用できるようになったツーリングアシストは、革命的進化と言えるでしょう。また、高速道路の速度上限を120km/hまで緩和するのに伴い、追従クルーズの設定上限速度も135km/hまで引き上げられています。低速から高速まで、あらゆる領域で本領を発揮できるようになったアイサイト。一度使ったら手放せなくなる、素晴らしいシステムです。
もちろん、安全性能は世界最高峰。ステレオカメラによる画像認識方式なので、物体の形状認識・識別が可能。その為、誤作動・誤認識が極めて少ないのです。ほんの少し気を許した、その瞬間も。フッとよそ見した、その瞬間も。いつでもアイサイトが、前方の安全をきっちりキープ。疲れがちの長距離ドライブでも、安心です。
今度のアイサイトは、バックもOK。
アイサイトで事故は減っても、減らないのがコスリ傷。駐車場でバックしすぎてしまった経験はありませんか?
今度のレヴォーグは、後退時自動ブレーキが標準装備になりましたから、もう安心です。リヤバンパーに備えられた、4つのソナーセンサーが車両後方の障害物を探知。障害物に接近すると、警報でその存在を知らせてくれます。それを無視して進むと、最後は自動ブレーキが作動。衝突の未然回避を図ります。
これまで後方警戒は、メーカーオプションのアドバンスドセイフティパッケージと、ディーラーオプションのディスプレイコーナーセンサーのみ。しかも、警報だけで自動ブレーキは、ありませんでした。
これがあれば、駐車場が狭くてちょっと不安。なんていう方でも、安心です。
より、シャープに。より、頼もしく。より、鮮やかに。
モデルライフの折り返し地点を過ぎた、レヴォーグ。今回は、フロントエンドのフェイスリフトも実施。シャープさを増したフロントエンドが実に頼もしく、強い存在感がレヴォーグのスポーティさを際立たせます。
スバルのパフォーマンスイメージといえば、ダイナミックな走りと低重心パワートレイン。メッキ加工のガーニッシュが強調する水平基調のラインが低重心を想起させるワイド&ローを際立たせ、カタマリ感のあるシャープなデザインは引き締まった足廻りを想像させます。一見しただけで、その鮮やかなパフォーマンスを期待する、そんなデザインに進化を遂げています。
WRXが開口部を広く見せて、獰猛なパフォーマンスイメージを表現しているのに対し、レヴォーグは洗練されたパフォーマンスを表現。兄弟車でありながら、そのイメージを強く差別化しています。
足廻りは柔らかく。新たにフォーマル方向にシフトか。
ワゴンらしからぬ、ハードな足廻りを標榜していたレヴォーグ。男らしいガッツリとした仕立ては、一部に熱い支持を受けていたのは事実です。一方で、使用速度域が低い日本では、少々ハード過ぎる嫌いもありました。
さらにその印象に拍車を掛けたのが、STI Sportと新型インプレッサでした。双方ともに、レヴォーグよりもしなやかな仕立てにも関わらず、ターンインの鮮やかさは完全に凌駕。硬い=スポーツという免罪符は、もはや通用しなくなったのです。
そこで、今回のマイナーチェンジ。スバルの匠達は、足廻りを柔らかめに仕立て直すことを選んだようです。ストロークの常用域を広げ、路面への追従性を向上。足を、より積極的に動かす仕立てです。突き上げ感を弱めることで、軽やかに駆け抜けるイメージでしょうか。
仕立て直しには、アクティブレーンキープも関係している可能性があります。レヴォーグだと、強い突き上げの際に、車線をロストしてしまう事があるのです。ツーリングアシストの採用によってアイサイトへの依存度が高まるだけに、予期せぬロストは危険に直結します。この点を考慮しての変更かも知れません。
サスペンションは、よりソフトに仕立て直し。
フロントサスペンション
スプリングは、バネ定数を変更するとともに、バンプストロークを8mm延長。ダンパーも減衰力を変更しつつ、リバウンド長も5mm延長。さらに、GT-Sではロアアームがピロボールタイプの鍛造アルミ製だったものが、コンベンショナルなラバーブッシュのスチール製に変更されています。
リヤサスペンション
フロント同様に、バネ定数を変更し、バンプストロークを8mm延長。ダンパーの減衰力も変更し、リバウンド長を8mm延長。スタビライザーは、リヤのみ2mm細い18mmへ変更されています。
これらの変更によって、ダイレクト感は若干抑制されるものの、マイルドなしなやかさが新たに授けられています。ガツガツ路面変化を伝えていくる荒々しさは影を潜め、より穏やかにアンジュレーションをいなしていく様に、仕立て直されているのです。
なお、今回のサスペンションのアップデートは、STI Sportは対象外。2.0GT-Sについては、ストローク長は変更されないようです。となると、1.6Lと2.0Lで仕立てが違うという事になります。若干ハードさを残した2.0Lと、しなやかさを与えられた1.6L。これは、AWDとのマッチングを考慮しての事かも知れません。2.0LのVTD-AWDは、リヤよりの駆動配分のために、リヤの蹴り出しは肝要。それ故、足を緩められなかったのでしょう。
後期型レヴォーグはグレード毎にサスセッティングが異なる、スバルらしいこだわりが光るモデルになった、という事でしょうか。
EPSも変更。
細かいところでは、EPS(電動パワーステアリング)が大きく設計変更を受けています。新たにコントロールユニットがモータと一体化され、軽量化が図られています。
かつては、パワステポンプを使用した油圧パワステが主流でしたが、今やEPSが標準です。パワステの電動化には、制御・介入の深度化、軽量化、低燃費化などあらゆる点で利点があります。しかし、ステアリングは単純な操舵だけでなく、タイヤからのインフォメーションを伝える、重要なインターフェースでもあります。EPSでは、インフォメーションの欠落や中立付近の不自然な手応えなど、未だに解決すべき問題は山積しています。
今回のマイナーチェンジではEPSユニット本体が換装されただけでなく、制御も変更されており自然で滑らかなフィーリングを希求しています。特に、舵角戻し制御が追加されたことで、コーナー立ち上がりでの舵の「残り感」が解消しているものと思われます。