スバル史上最大の巨艦「アセント」登場。但し、北米専売。 [2017年12月26日更新]
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東京モーターショーとは比較にならない程、気合が入りまくっているLAショーのスバル。
2017年11月29日、ロサンゼルスオートショーにて巨大戦艦「アセント」が発表されました。新開発2.4L水平対向4気筒直噴ターボを搭載する、大型3列シートのSUVです。快進撃が続く北米市場に於ける、さらなる成長を目指しての投入です。
2017年がスバルの米国販売が50周年にあたるということもあり、スバルブースは豪華絢爛。アセントは当然ながら、450ccのマイア(スバル360の輸出版)も展示。コレは、左ハンドルの珍しい1台です。スポーツモデルは、WRX STI TYPE RAとBRZ tSを展示。WRXは、日本市場にはないゴールドのホイールがイイ感じです。
端の方には、ボブスレーのコースを爆走する意味不明!?な企画を再現した実物大ジオラマを展示。痛々しい衝突痕もそのままに展示されています。この他、レギュラーメンバーも総揃えでギッシリ展示。スバルの快進撃がそのままブースに現れたかのような、ビジュアルです。
昨今、東京モーターショーの地盤沈下が心配されています。かつての賑やかさは何処へやら、海外メーカーの出展数も減少し、国内メーカーさえ新型車発表を行わなくなりました。こんな状態では若人たちは自動車への興味を失い、カーシェアリングへとまっしぐら。寂しい未来が待っている事でしょう。
新たなる旗艦、巨大戦艦「アセント」現る。
絶対的な使命を負って、新たなる旗艦が登場しました。堂々たる風格、巨大な躯体を有する3列シートSUV、スバル「アセント」。まさしく旗艦たる風格で誕生したこの新型車の成功によって、スバルはさらなる販売規模の拡大を目指しています。
日本人の目には持て余さんばかりの巨体に見えるアセントですが、北米市場ではこのサイズこそが標準。アセントは、Mid-Size SUVに分類されます。ちなみに、フォレスターはCompact SUVとして、RAV-4やCR-V等と熾烈な争いを繰り広げています。アセントも同様に、北米市場の熾烈な競争に身を投じていくことになります。
近年の北米市場でのスバルの大躍進には、コンシュマーレポートという非営利の消費者団体出版の商品評価誌が大きく関わっています。スバルはブランド評価で常に5位以上をキープし続けており、ここでの評価がスバルを「信頼あるブランド」たらしめているのです。
北米でのスバルの大躍進。コンシュマーレポートの存在。
コンシュマーレポートの運営はすべて会員費で賄われています。そのため、広告の影響を排除して公正な評価が可能です。家電から保険等々ありとあらゆる商品を「公平」に比較評価を行っており、プロのテスターの評価と同等に、実際に購入した会員のアンケート結果も反映されています。このアンケートには、コストパフォーマンスとアフターサービスも含まれています。
それ故、米国国民の信頼も厚く、コンシュマーレポートを見て購入を決断する消費者も多いようです。スバルは、このコンシュマーレポートで高評価を得られるよう細心の注意を払って、車両開発やアフターサービス体制の構築に取り組んでいます。その結果が、現在の大躍進につながっているのです。
例えば、5万ドルのメルセデスCクラスと2万ドルのインプレッサでは、ユーザーが求める満足も違ってきます。アフターサービスも同様です。逆に言えば、コストパフォーマンスが高い方が、むしろハイスコアに繋がります。もちろん、点検予約をしたら「1ヶ月先ですよ」なんて事では、当然ユーザーの満足は得られませんから、ディーラーネットワークの充実も不可欠です。
長年コツコツと積み上げてきた努力が実を結んだのが、今のスバルUSAです。
エンジンは、新開発の2.4L直噴ターボ。
エンジンは、新開発の2.4L直噴ターボを採用。エンジン型式FA24から推察されるように、レヴォーグやS4等に搭載されるハイパフォーマンスターボを、ボアアップして仕立て直したものです。263ps/5600rpm、375N-m/2000-48oorpmという3.5L級のパフォーマンスを実現しています。
排気量の拡大に際しては、ストロークを伸ばすのは無理だったのでしょう。エンジンの全幅に制限がある水平対向エンジンのデメリットが垣間見えます。ただ、ショートストロークへとなったことで、パフォーマンス系に仕立て安くなったのは間違いありません。今後、WRXのエンジンをFA24のチューニング版に載せ替えるのが流行るかも知れません。
今回、敢えて3.6L6気筒は採用されませんでした。如何せん旧式のEZ36でしたから、無理もありません。レガシィの6気筒も、将来的にはこのエンジンに換装されるはずです。
SUBARU GLOBAL PLATFORMが実現する、スバル史上最大サイズ。
シャシーは、インプレッサで初採用された「SUBARU GLOBAL PLATFORM(以下、SGP)」を採用。SGPは、当初よりアセントを想定したキャパシティを与えられていますから、走りもまったく不安はないはずです。
定員は、7名および8名から選択可能。7名仕様では、たっぷりとしたラグジュアリーサイズのシートが楽しめます。ボディサイズに余裕があるので、3列目へのアクセスも容易です。日本では実現できないこの余裕、羨ましい限りです。
この他、後席独立温度調整機能付フルオートエアコンやパノラミックサンルーフ等、スバル最高峰に相応しい各種装備が奢られています。
インテリアデザインは、インプレッサに範を取ったもの。MFDの下にナビ画面を配し、その両サイドにエアコン吹出口を備えています。ナビ位置が高い方が視線移動が少なく済むので、目が疲れにくく画面も見やすくなります。スバルらしい、シンプルで使いやすいダッシュボードに仕上がっています。
欲しい!でも、買えません。何で・・・・。
見れば見るほど、素晴らしい仕上がりのアセント。欲しい!とお思いの方もいらっしゃると思いますが、買えません。北米専売車ですので・・・。逆輸入する以外に手立てはありません。
売れているマーケットに注力するのは自然な企業活動とは理解しています。が、唯一の3列シート車エクシーガの廃止と間髪置かずにアセントを発表したことに対して、思う所があるのは小生だけでは無いと思います。
巨大なアセントですが、日本市場では本当に売れないのでしょうか?トヨタが逆輸入するハイラックスは、1ナンバー登録にも関わらず大好評。大きいクルマに魅力を感じる方も少なくないはずです。逆に、大きいからこそ、アセントに魅力があるのです。
マーケットボリュームの割に、選択肢が余りにも少ない日本のミニバン市場に飽き飽きしている方も多いのでしょう。マツダが国内投入したCX-8は、存外に好調のようです。ですから、スバルもアセントの国内投入を真剣に検討して頂きたいところです。