スバル、東モ開催概要。次期レヴォーグ、EJ20 Final Edition。トヨタと資本提携強化。 [2019年09月28日更新]
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東京モーターショー開催概要発表。そして、資本提携強化によりスバルが歴史的転換点を迎える。
10月23日に開幕する、東京モーターショー。その開催がいよいよ間近に迫り、スバルは開催概要を発表しました。今回は、その詳細をお伝えします。
と、ほぼ時を同じくして、大きなニュースが飛び込んできました。それは、トヨタ自動車が議決権比率20%に達するスバルの株式を取得し、スバルも同額でトヨタの株式を取得。これにより、スバルはトヨタの関連会社となり、連結決算に組み込まれることになったのです。
スバルが歴史的転換点を迎えるとあれば、プレスデーの質問はその一点に集中するでしょう。しかし、スバルファンが注目したいのは、そこではありません。
新世代プラットフォームと、次世代エンジン、これに加えて次世代アイサイト。すべてが新しくなる次期レヴォーグです。スバルファン期待の1台が、遂にワールドプレミアとなるのです。次期レヴォーグは新たにフラッグシップモデルに君臨するとあって、その注目はいやが上にも高まっています。新基軸てんこ盛りとなれば、その出来がスバルの今後10年を占うのは間違いありません。
また、これまた噂にあった「WRX STI EJ20 Final Edition」のワールドプレミアも同時に行われます。ファン注目のモデルが2つも同時発表とあって、今回の東京モーターショーはスバルファンにとって忘れられないものとなりそうです。
新たにフラッグシップに君臨する、次期レヴォーグ。そのすべてを全面刷新して登場。
最大の注目は、もちろん次期レヴォーグでしょう。F型の年次改良を経て間もない今秋。装いも新たに2代目レヴォーグがデビューします。
スバルのフラッグシップモデルであるレガシィの伝統を受け継ぎ、日本にジャストサイズのツーリングワゴンとして登場した、初代レヴォーグ。インプレッサのリヤオーバーハングを延長したワゴンボディとしつつ、WRXとボディ前半を共用として徹底的に補強を実施。300ps級エンジン搭載の、稀代のツーリングワゴンとして誕生しています。
デビュー当初から、レヴォーグは絶好調。特に、抜群のコストパフォーマンスを誇る1.6L直噴ターボが人気を博しました。モデルライフが後半に突入すると、STI Sportを追加。大人のツーリングワゴンとして、さらなる高みを目指しました。
ところが、日本のツーリングワゴン市場は衰退の一途。アテンザワゴンの存在感も今や薄く、レヴォーグが唯一気を吐いているに過ぎません。レヴォーグのライバルは、よりクォリティの高いドイツ勢に移行しつつあります。
そこで、次期レヴォーグはフラッグシップモデルとして、プレミアム感とクォリティを格段に向上させて誕生します。ボディパネルはすべて専用品とされ、インテリアにも専用のものが奢られるようです。
期待高まる次期レヴォーグですが、明らかにされるのは内外装デザインのみ。新開発の1.8L直噴ターボやEyeSight ver.4の詳細が明らかにされるのは、2020年に入ってからとなるはずです。なぜなら、その開発は依然としてその途上にあるからです。スバルのエンジニア達は、持てる最高のスペックを実現するため、市販開始(つまり、来年夏)までギリギリの開発を続けることでしょう。
スバルは、早くもティザーサイトを開設。カウントダウンと共に、ファンの期待を高めています。
ついに終焉を迎える、名機EJ20。最終限定モデル、WRX STI EJ20 Final Edition誕生。
ついにフィナーレを迎える、EJ20。それを記念して、ファイナルモデルとして「WRX STI EJ20 Final Edition」が参考出品されます。このモデルはすでに市販が確定していて、10月23日以降に555台限定で抽選販売される予定です。
近代スバルの礎を築いたこのEJ20エンジンは、独特のボクサーサウンドでWRCを席巻。今や、その存在は伝説となっています。日本の小規模メーカーが、ランチア、フォード、トヨタと巨人を次々に打倒していく姿は、本当に痛烈でした。
ただ、いくら老骨に鞭打っても、設計の古さは隠せません。甘美なレスポンスと滑らかなトルクデリバリーは、素晴らしい魅力に溢れていますが、ポート噴射にショートストロークとあっては、熱効率に劣るのは致し方ないのです。手組みのSTIコンプリートであっても、その出力は完全な頭打ち。何しろ、2002年のS202から2018年のS208に至るまで、たった9psしか絞り出せていないのです。対して、AMGは同じ2Lながら最新技術を投じることで、2013年に360psであったものが、2016年には381psに到達。2019年には、専用設計エンジンによって2Lから421psを得るといいます。
もちろん、Formula-EからF1まで手掛けるAMGと、GT300を細々続けるSTIでは、圧倒的な技術力の差が存在するでしょう。ただ、あの栄光の時代を思う時、STIかくあるべしとの期待に応えるのは、STIの義務に違いないとも思うのです。
なお、今回のFinal Editionでは、エンジンチューニングはバランス取りのみ。そのため歴代コンプリートと違って、パフォーマンスはノーマル値そのまま。その分、価格は相当にリーズナブルに抑えられています。これを逃したら、次のチャンスはありません。心が揺さぶられるのなら、ぜひ店頭へ。
ジュネーブで発表済みの、VIZIV ADRENALINE CONCEPTを出展。
今回、恒例のVIZIVシリーズに新たなる展開はありません。その代わり、ジュネーブショーに参考出品された「SUBARU VIZIV ADRENALINE CONCEPT」が展示されます。
このモデルは、中期経営ビジョンで2020年代中盤の登場が暗示された「GLOBAL戦略SUV」をイメージしたものです。GLOBAL戦略SUVは「XVサイズのSUV」であり、CX-30やCH-R、ヴェゼルらが競うカテゴリーへ参戦し、スバルの持てるAWD技術によって「フェイクSUV」群に勝負を挑むものと思われます。
ただ、その登場は確約されたものではありません。なぜなら、スバルはトヨタと本格的EVを共同開発中であり、「ミディアムSUV」クラスへの投入が確定しています。となれば、スバルのモデル数が増加することとなります。
別項記載の通り、スバルは全モデルに毎年年次改良を実施して、丹念に育てていくことを信条としています。ところが、モデル数が増加すれば、当然開発陣のキャパシティオーバーは免れません。これでは、2018年のリコール問題の再現ともなりかねないのです。
スバルは、新たにトヨタの連結決算下に置かれることになります。となれば、販売台数を追いかけてトヨタと競合するより、ブランド色を強化していく方向になるのは必定。そのブランド色とは、ハイパフォーマンスAWDです。そう考えれば、既存モデルの強化(ハイパフォーマンスグレードの追加)が喫緊の課題となるだろうと思われるのです。
少なくとも、直近の苦戦が伝えられるCH-Rと台数を削り合うようなモデルの登場が歓迎され得ないのは間違いありません。ただ、アライアンスによるシナジー効果を考慮して、GLOBAL戦略SUVが2代目CH-Rの兄弟車として登場する可能性は残るでしょう。
インプレッサ、XVの後期型を展示。PHVは、いずれ国内投入される?
この他、インプレッサとXVの後期型がそれぞれ出品されます。現時点では先行予約となる両モデルですが、東京モーターショーが開催される10月23日には既に発表済みとなります。ご購入を検討中の皆様は、ショーの展示車よりも、ぜひ店頭へ足をお運びいただき、実際にご試乗なさることをオススメします。
さて、先日開催された「人とくるまのテクノロジー展名古屋」では、スバルは米国専売のXVのPHVモデルを持ち込んでいました。こちらは、トヨタのTHSをベースとしつつ、スバルの水平対向エンジンにマッチングするストロングハイブリッドユニットとして開発されたもので、米国ZEV規制対応を目的としています。
ただ、このPHVユニット、実はピンチヒッターなどではなく、今後広く展開される計画なのです。このことは、今回発表された資本提携に関するプレスリリースにも明記されています。つまり、XVのPHVモデルも、近い将来国内投入されるでしょうし、フォレスターやレヴォーグといった他のモデルにも搭載される可能性があるのです。
スバルは電動化に際して、当初独自開発を計画しており、実際に開発も進められてきました。しかし、CASEに象徴される新たな時代に適応していくには、単独開発ではリスクが高いと判断。方針を大きく転換し、トヨタからの技術流用を図ることとなったのでしょう。
ただ、このユニットが存在する限り、スバルの水平対向エンジンは生き永らえることができます。トヨタの先進的な電動化技術により、次世代の環境適合性を獲得できるのです。ボクサーエンジンファンにとって、今回のアライアンスは大いに歓迎すべきことと言えるでしょう。
WRCへ復帰!?トヨタとの資本提携強化により、スバルのモータースポーツ活動が強化される可能性。
寂しいことに、モータースポーツ関連の展示は「SUBARU BRZ GT300 2019」たった1台のみ。どうやら、ニュルブルクリンク24時間仕様のWRX STIは持ち込まれないようです。
スバルのモータースポーツ活動は、今回のアライアンスの影響をもっとも強く受けることになるでしょう。豊田章男氏はプレスリリースの中で、インプレッサWRXのR5マシンで腕を磨いた経験をわざわざ書いています。それは、DJモリゾー氏の期待そのものと考えて差し支えないでしょう。
期待とは、スバルのWRCへの復帰です。現状、WRCは水平対向エンジンでの参戦を許していませんし、巨大なインプレッサでは勝つ見込みはゼロです。しかし、スバルブランドを強化するには、WRC活動は決して欠くべからざるものに違いありません。加えて、2020年にはいよいよラリー・ジャパンが復活し、日本にWRCが帰ってきます。フォードが実質的にワークス活動を終了し、シトロエンの先行きも万全と無いとすれば、FIAもスバルの復帰を大いに歓迎するでしょう。これを考慮して、レギュレーション変更がなされる可能性も考えられます。
我々スバルファンがそうであったように、WRCには子供たちを夢中にさせる力があります。子供たちが目を輝かせるようなクルマを造りたい。それは、自動車のコモディティ化が懸念される今、非常に大切なことなのです。「もっといいクルマづくり」の一つの活動として、更にはクルマがより高価値の存在であるための活動として、スバルのWRC復帰は大いにあり得るでしょう。
もし、豊田氏の経営への介入があれば、STI部門は人員・予算共に大幅に強化され、スバルブランドを牽引する存在として大いに増強が図られることでしょう。GAZOO RACINGとも密接に連携した上で、様々な活動が行われるはずです。
資本提携強化により、連結決算に組み込まれるスバル。その未来とは?
兎にも角にも、スバルは大きな転換点にあります。ダイハツ、日野にスズキが加わり、そこに新たにスバルも加わるのです。東京モーターショーは、日本の自動車業界激動期の幕開けともなるかも知れません。
ダイハツとスズキはコンポーネントの共用化が一気に進行し、シナジー効果によって更なるコストダウンが進められ、軽自動車は世界戦略車化へ向けて、軽規格の変更を伴う新たな展開が始まるでしょう。スバルはこの流れには加わらずとも、日本唯一のハイパフォーマンスブランドとして、その色合いを濃くしていくものと思われます。
一方で、トヨタでは全車種併売に始まり、販売店統合と単一ブランド化が進められます。これにより、確実に余剰店舗が発生しますから、大規模店への建て替えと整理統合が始まるはずです。生存をかけたトヨタ店同士の熾烈な競争の幕開けです。
都市部ではKINTOといったサブスクリプションの利用が盛んになり、数年前に始まった残価設定プランと合わせ、5年落ちの中古車が市場に増加。いつしか、市場需要を上回るようになるでしょう。これにより中古車相場はどんどん下降します。特に残存価値の減少が早いと言われる日産、三菱は一気に苦境に立たされるはずです。
何れにしても、トヨタとの資本提携強化によって、スバルの経営健全性は高まるのは間違いありません。ただ、功を焦ってトヨタに近付き過ぎるようなことがあれば、スバルの個性は失われてしまうでしょう。トヨタが敷くスバルのレールは何処に向かうのか。それは、いずれ明らかになることでしょう。