追記:予告された存在。高出力版新型レヴォーグを予測する。 [2019年11月10日更新]

レヴォーグ WRX
 
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文責:スバルショップ三河安城 和泉店

お問い合わせ:0566-92-6115

担当:余語

 

新型レヴォーグ・プロトタイプ、東京モーターショーでワールドプレミア。

スバルファン待望の1台が、遂に登場です。新開発エンジン+SGPを採用して全面進化を果たした、新型レヴォーグ。発売開始は1年近く先の2020年後半にも関わらず、2019年東京モーターショーで早くもワールドプレミアされました。

「新型レヴォーグ・プロトタイプ」と命名されたこのクルマは、来年後半にデビューを予定する新型レヴォーグの先行試作車ということになるのでしょう。すべてのウィンドウはブラックアウトされ、インテリアを覗うことはできませんが、エクステリアデザインは市販仕様をそのまま反映しているものと思われます。

 

スバルデザインは、新たな時代へ進化を遂げる。その嚆矢となる、新型レヴォーグ。

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デザインテーマは、これまでの「DYNAMIC×SOLID」から「BOLDER」に変更。よりエッジが効いた、シャープでメリハリのあるデザインへと進化を果たしています。恐らく、この新型レヴォーグのデザインが、今後登場するスバルモデルのキーとなっていくでしょう。

新型レヴォーグのデザインは、2018年のジュネーブで公開された「VIZIV TOURER CONCEPT」のエッセンスを色濃く受け継いでいます。これまで、コンセプトカーの再現度ワーストワンとして知られてきた、スバルの面目躍如です。

最も印象的なのは、現行デザインから大きく構成を変更されたフロントエンドです。

スバルはこれまで、ヘッドランプーフロントグリルーヘッドランプと水平に構成し、この下にフォグランプカバーーロワグリルーフォグランプカバーと、オーソドックスな2段構えのデザインを採用してきました。

これに対し、新型レヴォーグではフロントグリルをフロントエンドセンターに置き、ここを中心に各パーツを配置する構成に、大きく変更されています。各エッジも相当シャープに処理されており、ハイライトがパキパキと入る、よりダイナミックで立体感のある、先進的なデザインとなっています。このフロントマスクに、STIのアンダースポイラーとメッシュグリルを組み合わせると、どのような化学変化を起こすのか、今から楽しみです。

前後フェンダーは円弧ではなく、VIZIVのようにヘキサゴン形状を採用。シャープな面構成と良くマッチしているように見えます。ボディサイド全体の面構成は、前後を走るキャラクターラインを主体に構成されています。これは、現行インプレッサ以降共通となるデザインです。ただ、レヴォーグらしくフェンダーは力感の高いブリスター状に処理されています。

リヤエンドでは、広く取られた開口部が目に付きます。マツダのようにデザイン優先で実用性に目を瞑るのではなく、しっかりとツーリングワゴンとしての機能を追求し続けるスバルの姿勢が見て取れます。リヤコンビランプがボディサイドに食い込み、そこを起点に始まるプレスラインも、VIZIVを踏襲したものです。

 

時代が変わっても、デザイン哲学を変えないスバル。新型レヴォーグの誇る、高い実用性とゼロ次安全。

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スバルは安全性優先の観点から、視界確保を大前提にデザインを決定しています。「ゼロ次安全」と称し、運転のしやすさこそ、安全の第一歩だとしているのです。ただ、こうしたクルマ創りは、スバル自らが編み出したものではありません。メルセデスやボルボが、自らに課していた「戒律」だったのです。しかし、彼等は自らのその戒律を放棄してしまいました。今や、世界広しと言えども、乗用車にこの戒律を課しているのは、スバルのみです。

スバルはフロント・サイド・リヤと、運転席から見える死角に厳しい制限を設けてあり、これが確保できないデザインは如何に魅力的であろうとも、決して市販されることはありません。つまり、マツダ・3やトヨタ・C-HRの如き「エモーショナル」なデザインは決して成立し得ないのです。

新型レヴォーグのエクステリアデザインからは、安全とデザインのギリギリのせめぎ合いが見て取れます。リヤクォータウィンドウは縮小しつつも最後方まで伸ばされ、バックウィンドウとの間にある死角を、極限まで減らそうとした意図が伺えます。

このエリアは、リヤに向かって大きく絞ることで、フェンダーの張り出しが強まり、力感はどんどん高まります。フェンダーの張り出し感は、ハイパフォーマンスを想起させますから、各メーカーは実用性をそこそこにここを強く絞るデザインを採用しています。その結果出来上がるのは、荷室はビックリするほど狭く、ゴルフバッグすら入らない、「使えない」ツーリングワゴンです。

新型レヴォーグでは、安全性と実用性を最大限確保すべく、この絞り込みをギリギリで抑えています。その代わり、リヤフェンダーの稜線のエッジを強く立て、ここにくっきりハイライトを入れることで「ノペっと」感を抑制しています。その結果、力感のあるリヤデザインを実現しつつも、バックウィンドウはしっかり横に長く、現たっぷりとした荷室と大きな開口部が確保されているのが分かります。

ツーリングワゴンは、セダンに荷室を加えたものです。ですから、荷室の狭いツーリングワゴンなぞ、何の存在価値もありません。スバルは、ツーリングワゴンのパイオニアですから、ちゃんと使えるツーリングワゴンを志向しているのです。

 

インテリアは、非公開。その理由は、インフォテインメントシステム?

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この新型レヴォーグ・プロトタイプは、走行可能な先行試作車だと思われます。リヤエンドにはソナーセンサーが、床下にはマフラー一式とラテラルリンクが見えており、デザインモックアップにここまで手の込んだことはしないからです。

それならば、なぜインテリアデザインを公開しないのでしょうか?一説には、インテリアはインプレッサ/フォレスターとは共有せず、専用デザインが奢られるはず、とされています。その理由を紐解くカギは、インフォテインメントシステムにあります。

新型レヴォーグでは、EyeSightがver.4に進化します。ステレオカメラと前後計4個のレーダを組み合わせるこの新システムでは、高精度マップで高速道路形状を把握するとしており、メーカー純正ナビの採用が必須となるはずです。となれば、センターコンソールのデザインは大きく変更されて、新型レガシィ同様にセンターに大画面が鎮座するデザインへの刷新されるはずなのです。

恐らくは、この辺りの仕様は依然最終決定ではないのでしょう。そのため、ランニングプロトタイプにも関わらず、インテリアを公開できないものと思われます。新型レヴォーグのインテリアデザインは、次期WRXと共有するのは間違いありません。次期WRXが気になる方は、新型レヴォーグのインテリアを一生懸命透視しましょう。

新型レヴォーグは、排気量拡大に伴って実質的に価格帯が上昇するはずで、それに相応しい装備が追加になると思われます。後席向けのエアコン吹出口やシートヒータ、パワーリヤゲートなどです。スバルは、新型レヴォーグを国内市場のフラッグシップと位置づけており、相当に気合の入った充実の装備が期待できるでしょう。

 

新開発1.8L直噴ターボを採用。ライトサイジング+リーンバーンで、高燃費・高出力の両立を目指す。

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エンジンは既報の通り、新開発の1.8L直噴ターボのみを搭載します。彼方此方で噂のあった1.5Lは、やはり搭載されません。1.8Lは2.5L NA及び1.6L/2.0L直噴ターボの代替として、1.5Lは2.0L NAの代替として計画されていますから、新型レヴォーグは1.8Lしかラインナップされないという訳です。

この新1.8Lは、既存の1.6Lの代替を想定しています。ダウンサイジングターボは、2000年代に大流行したエンジン技術です。排気量縮小により、低負荷時の燃費を大幅に改善しつつ、直噴ターボの高過給圧により高負荷時のトルクを確保するという技術です。ところが、過度の排気量縮小は、低負荷時のトルク不足を顕在化させ、アクセル開度増加を招き、結果として燃費向上効果を半減させてしまったのです。

そこで、近年では少し排気量取り戻したライトサイジングが主流となりつつあります。今回、レヴォーグの主力エンジンが1.6L→1.8Lとなったのは、2.0Lとの一本化の他に、そうした理由もあります。

この新開発エンジンは、産学共同の研究組合「AICE」での研究実績をベースに、新たな領域へチャレンジしたもので、よりリーンな燃焼によって熱効率を高めるコンセプトで開発が進められています。熱効率向上により、高燃費・高出力の両立を目指しているのです。

高過給圧+高圧縮比による超リーンバーン+熱効率向上は、近年急速にクローズアップされてきた領域です。その研究は長年進められてきましたが、高速大容量処理が可能なエンジンECUや、高速かつ正確に作動するインジェクタの実用化により、ようやく実現の目処が立った技術です。

圧縮点火時の燃料濃度分布を最適化することにより、より薄い空燃比で確実に着火させつつ、全ての燃料を確実かつ早期に燃焼を完了。同じ燃料供給量から、より大きな出力を得ることができます。恐らくは、より高い過給圧と圧縮比により、250ps級の出力と20km/L台の高燃費を実現するものと思われます。

 

2.0Lエンジンに後継は存在する?予告された高出力版の存在。[2019年11月12日追記]

現行レヴォーグに追加された特別仕様車「2.0GT EyeSight V-SPORT」。ここで予告されたのが、2.0Lの後継高出力版の存在。当面の間登場しないとされるそのモデルですが、一体どのようなパフォーマンスで登場するのでしょうか?

もし、FA20DITをキャリーオーバーするのなら、その象徴たるハイパフォーマンスモデルを遅れてデビューさせる意味がありません。つまり、現行FA20DITが廃版となるのは間違いありません。そう考えると、高出力版が「新開発エンジン」を搭載するのは、決定事項と考えて良いでしょう。

すると、選択肢は3つです。

1.2.4L直噴ターボ:アセント/レガシィ用

まず、2.4L直噴ターボを考えてみましょう。プラットフォームは共通のSGPですから、搭載には何の問題もありません。そのスペックは264ps/376Nmで、充分なパフォーマンス。そこで問題となるのが、トランスミッション。現行2.0Lが300ps/400Nmですから、これを現行リニアトロニックのトルク容量と考えると、余裕は殆どありません。

でも、SUVと全く同じチューニングでは、レヴォーグの名が泣きます。仕立直しを期待したいところです。ただ、現行2.0Lと同様の150ps/Lで計算すると、360ps。これでは、トランスミッションを新規開発せねばなりません。今のスバルが、そんな事をするでしょうか?恐らく、あり得ません。。。

やはり、あるとすれば、アセントそのままのスペックでの「流用」でしょう。つまり、現行からのスペックダウンは不可避です。ただ、高出力版レヴォーグと次期WRXがエンジンを共用すると考えれば、様々なモータースポーツカテゴリーでクラス変更を余儀なくされる影響は考慮されるかも知れません。この点を優先するなら、このエンジンのプランはあり得ないでしょう。

2.1.8L直噴ターボ高出力版:新型レヴォーグ用

1.8L直噴ターボの高出力版は、どうでしょうか?海外ブランドでは、全く同一の仕様ながらECUの中身を変えて、出力を分けてラインナップしている事例が多くあります。このプランは、スバルにとって最もリーズナブル。何しろ、ソフトウェアだけで済むのですから。。。現行モデルの販売台数は、ツーリングワゴンの不人気もあって右肩下がり。直近では、1000台近辺を行ったり来たり。そこへ来て、上位モデルとなれば、月販300台以下。掛けられるコストは、多くありません。

しかし、このプランではパフォーマンスには限りがあります。ノーマルが高燃費高トルク仕様とすれば、高出力版は低燃費高回転仕様となるでしょう。それでも、現行2.0Lのスペックに達するのは絶対に不可能です。予想されるのは、270ps近辺。最低でも30psのスペックダウンは免れないでしょう。

3.2.0L直噴ターボ新開発版:現行レヴォーグ/S4用

さて、現行2.0Lを開発し直す事はあり得るのでしょうか?恐らく、それはないでしょう。

実は、新型レヴォーグ用エンジンについて、その存在をスバルが公表した際、次に登場する1.5L直噴ターボ(2.0L NA置換用)とこの1.8L直噴ターボ(1.6L直噴ターボ/2.5L NA置換用)で、スバル全生産台数の8割を担う計画を明らかにしています。残り2割を、2.4L直噴ターボ(3.6L6気筒置換用)とすれば、それで全て。そう、2.0L直噴ターボが存続する余地はありません。

結論

フォレスターから伝統のターボモデルをためらいなく廃止した、今のスバルです。エンジンラインナップがいたずらに増えるのは好まないでしょう。また、CAFE方式での燃費規制が日本でも施行されることも考慮すれば、近い将来にPHVないしHVモデルを追加することも考慮せねばなりません。となれば、選択肢は1つ。1.8L直噴ターボの高出力版です。

新型レヴォーグの+200ccは、絞りすぎた排気量を戻すための200ccです。つまり、低負荷時極低過給圧時のトルクを稼ぐための200ccなのです。ですから、200cc増えたとて、そのままパフォーマンスが向上すると考えるのは、早計です。そう、新しい1.8Lは、1.6Lと2.0Lの中間ではなく、1.6Lの後継エンジンに過ぎないのです。

高出力版の登場を良く考慮すれば、ノーマルを200ps級に留める可能性もあるでしょう。その場合、高出力版が250ps級です。期待を込めて言えば、ノーマルが250ps程度で、高出力版が270ps。幾ら何でも、排気量はたった1.8L。どう絞り出したとしても、現行2.0Lを上回るパフォーマンスを期待するのは難しいでしょう。

 

進化版リニアトロニックを搭載。THS仕様は、後期型で追加も??

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トランスミッションは、リニアトロニックを継続搭載します。彼方此方で言われている希望的観測とは違って、スバル社内に「具体的」な多段ATの開発計画は現在存在しません。

チェーン駆動を採用するリニアトロニックには、そこそこ優秀なトランスミッションです。そのダイレクト感は、ベルト式CVTとは一線を画するもので、どの速度域からでもストレスなく滑らかに加速していきます。アイサイトのアダプティブクルーズコントロール(ACC)とは特に相性が良く、無段階変速のメリットを生かして、スムーズな加速・減速・再加速を実現しています。

新型レヴォーグに搭載されるリニアトロニックは、現行レヴォーグよりもより広いレシオカバレッジ(変速領域)を有するもので、現行インプレッサ以降に採用されているものです。レシオカバレッジの拡大により、AT多段化と同様に滑らかで連続性のある加速を維持しつつ、高速巡航時の常用回転数を下げることで、実用燃費の改善を図っています。

新型レヴォーグは、デビュー当初は1.8L直噴ターボ+リニアトロニックのみのラインナップとなります。しかし、モデルライフ中盤には、CROSSTREK HYBRIDに搭載された「StarDrive」が追加ラインナップされる可能性が高いでしょう。このStarDriveは、2.0L直噴NAエンジンにトヨタ製THSを内蔵する2モータ式ハイブリッドユニットをドッキングしたユニットであり、スバル初のPHVモデルに搭載され、現在では米国のみで販売されています。今後は、幅広く展開されることが発表されています。ただ、その「LEVORG HYBRID」がPHVなのか、HVとなるのかは、現時点では不明です。

スバルのトヨタ傘下入りに伴い、将来的にはAW製トランスミッションへの移行が検討されているようです。ただ、その採用は、次期インプレッサ以降となるでしょう。

 

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