ボーイング「777X」中央翼生産へ向けて工場増設へ。 [2015年01月22日更新]
2015年1月22日 ボーイング「777X」の中央翼の生産へ向けて。
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ボーイング「777X」中央翼生産へ向けて工場増設へ。
富士重工業(FHI)は、愛知県半田市にある半田工場内に新たに組立工場の増設に着手したことを発表しました。
この組立工場では、ボーイングの次世代旅客機「777X」の中央翼を生産する予定です。FHIは、現在ボーイング「777」「787」や海上自衛隊対潜哨戒機「P-1」、航空自衛隊輸送機「C-2」の中央翼を生産しており、半田工場は世界に例を見ない中央翼の一大生産拠点となっています。FHIは「777X」の受注によって、今後数十年に渡って安定した生産を継続することが可能になります。
「777X」は現行「777」の後継機であり、GE製新型エンジン「GE9X」への換装、主翼の延長(64.8m→71.3m)、主翼の複合材製への変更などをあわせ、1座席辺り15%の燃費改善を実現するとしています。
航空機の要、中央翼。
航空機における中央翼は、最も重要な部位のひとつです。主翼で発生する揚力およびエンジンで発生する推力のすべてを胴体に伝える役割を担っているため、飛行中にかかる応力の大部分がこの中央翼を経由することになります。そのため、中央翼は極めて堅牢で、疲労に強く、信頼性が高く、なおかつ軽量でなくてはなりません。
この中央翼を安定して供給するFHIはボーイングから非常に高い信頼を得ており、「ボーイング・サプライヤー・オブ・ザ・イヤー賞」を2003年と2011年の2度受賞しています。
中島飛行機として、その長い歴史をスタートさせた富士重工業。未だ、その命脈は途切れることなく今に続いているのです。
富士重工、ボーイングとの正式契約に調印。
2015年7月23日、ボーイングと(財)日本航空機開発協会は新型旅客機「777X」の開発・製造に関して、富士重工(FHI)をはじめ、三菱重工(MHI)、川崎重工(KHI)、新明和工業(SMIC)、日本飛行機(NIPPI)が正式契約に調印にしたことを発表しました。
日本の航空機メーカー5社は、この新型旅客機の主要構造部位のうち胴体、中央翼、圧力隔壁、主脚格納部結合、客室扉、貨物室扉、主脚扉、翼胴フェアリング等を分担しますが、これは主要構造の約21%に相当します。
富士重工は、現行「777」と同様に中央翼、中央翼・主脚格納部結合、主脚扉、翼胴フェアリング(前部)を担当することとなります。
ボーイング、「787」初号機(ZA001)をセントレアに里帰り。
ボーイング「787」は、2004年4月のANAの50機発注により正式ローンチされた新世代旅客機です。その初号機「ZA001」が、この度セントレアに寄贈されることとなり、その式典が執り行われました。
航空機の試作機には、「ZA001」のように飛行を目的とした試作機と、機体設計の正確性を評価するための地上試験機の2種類があります。地上試験機は静強度試験機と疲労強度試験機の2機が製造されるのですが、空に一度も上がることないまま試験によって破壊されてその短い生涯を終えます。多くの場合、地上試験機が先んじて製造されますから、ZA001は厳密な意味での初号機ではありません。
新聞やニュースで報じられたりと衆目を集める初号機ですが、旅客機では試験プログラム終了後、航空会社へ引き渡される場合が殆どです。が、戦闘機では耐弾性の試験に供されて、機関砲で穴だらけにされた後にスクラップ処分となる悲しい運命が待っています。
さて、2009年12月にめでたく初飛行を行なったこの「ZA001」ですが、機体性能が量産仕様と異なるために予定されていたANAへの引渡しは中止。結局、予定の試験プログラムが完了後、退役することとなったようです。そして、世界でも参画企業の多いこの愛知の地を永久の棲家とすることになったのです。今後の計画はまだ定まっていないようですが、事ある毎に展示機として公開される予定とのことです。
半田工場の「777X」向け中央翼組立工場が竣工。
FHIは、かねてより進めていた半田工場での新建屋の増設工事が完了したことを発表しました。建築面積約11,600平米の建屋は半田では3棟目の組立工場であり、ボーイング「777X」向け中央翼の生産を行います。半田工場は新工場の完成により、ボーイング「777」「787」「777X」の他、防衛省向け固定翼哨戒機「P-1」、輸送機「C-2」の中央翼の生産も行うという、類まれな中央翼生産拠点となります。
ボーイング「777」は1994年に初飛行した400席級のワイドボディ機であり、世界最大の双発旅客機でもあります。燃費の良さと航続距離でボーイング「747-400」を上回っていたエアバス「A340」に対抗すべく開発されました。日本の各企業が共同開発に参加しており、その分担比率は21%となっています。
今回FHIが生産を発表した「777X」は、「777」から15%の燃費改善を図るべく開発されるアップグレード版です。最大の特徴は、揚抗比改善のために延長された翼幅71.3mに達する主翼です。その主翼は複合材料製で、大幅な軽量化が図られています。これだけのサイズとなると、運用できる空港が大幅に制限されてしまうため、主翼に折畳み機構を備えるとしています。
FHIは中央翼および中央翼・主客格納部結合を担当します。「777X」は2017年に製造開始、2020年の初号機引き渡しを予定しています。